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現在は、衣料の世界で麻と棉を比べれば圧倒的に棉の比率が大きくなります。然しながら中世以前の世界では、麻が主流の地域がありました。 例えばヨーロッパでは産業革命でイギリスの棉紡績工業が興るまでは、麻(亜麻)が主な衣料用の繊維でした。インドを植民地化し、棉花の確保に道を付けてから大きな変化が起こった事になります。 また、日本では棉花が伝えられ栽培に成功するまで、麻(苧麻・大麻)が主流の世界でした。庶民の間に普及したのは江戸時代の初めの事です。 世界的にみると、古代インド及びペルーで発達した棉の使用が、中世にほぼ世界中を席巻した事になります。 棉がこの様に普及した理由は: (1) 繊維としての特性が優れている。 (2) 他の繊維に比べて加工が容易であり、大量栽培に適していた。 等が考えられます。 反面、工業用の原料として適さない様々な繊維が隅に追いやられた事になります。 例えば棉では、アジア棉・有色棉 等・麻では、苧麻の極細品種 等です。 アジア棉の中でも比較的繊維長の長いもので手紡ぎ・手織りした生地は、夏の衣料用として優れたものと思います。また有色棉は、現在茶色と緑色はありますが、他にも有色の棉があると言われています。 苧麻の極細品種は、一般的な苧麻は5デニール位ですが、3−5デニールの品種も有ります。収穫の効率が悪くほとんど栽培はされていませんが、中国の一部農家で作られているそうです。 亜麻についても、北海道で栽培されていた頃には極細品種があったと聞いています。現在これが残っているかを調査中です。 大麻繊維についても、採繊に最も適した品種を栽培している群馬での状況は消滅寸前です。大麻の場合は、毒性の問題から法的な規制がある事からまた別の難しさがあります。 単純な経済的判断ではとても難しい事ですが、伝えていく価値のあるものだと考えています。結局行き着く先は、種・株と栽培技術・加工技術を合わせて残す事が出来るかどうかにかかってくると思います。
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