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織りの基本 「織物を織る」基本は、「たて糸を上下に分けて広げ、たて糸の間によこ糸を通し、 通したよこ糸を打ち込む」という動作を繰り返す事です。人類最初の織機は 「竪機」と呼ばれる織り機と言われています。左右二本の棒の間に水平に棒をかけ渡し、その渡した棒に幾つもの経糸を垂らし、それぞれの経糸に石などの重りをくくり つけ、上部から緯糸を入れていく「経糸おもり機」と言われています。この様に手で入れていた緯糸を、手ではなく木切れを使用し始めました。この木切れが、時代と共に 「杼・筬・シャトル」へと変化していきます。そして、緯糸を通すのに便利なように「開口棒」が考案され、経糸を開口させて緯糸が通るための隙間「杼口」が生まれまし た。さらに古代ギリシャの機織り機には、織り終わった布を巻き取るビームが作られた事で長い布が織れるようになりました。 古代人の作布は、織布と編布の2種類があります。布を織る織物の原理は、綜絖(そうこう)という道具を使いタテ糸を交互に上下し、その間にヨコ糸を通すという作業の 繰り返しです。しかし、編物は1本の糸を編み棒で絡ませながら編み上げる場合とタテ糸とヨコ糸を別々に用意して交互に絡ませて編み上げる場合の2つの単純作業です。 織物は、織機で製作され、織機は「はた(機)」とも呼び、織機を使って織ることを機織りと言います。織りの基本は、織機を使い経糸と緯糸の2組の糸を直角に交差させ ることです。一般に経糸は平行に張られ、経糸は綜絖(そうこう)によって、2つ以上のグループに分けられ、上下(絨毯等を織る縦型の織機(竪機)の場合は前後)に2つの 面を作ります。隣り合う経糸は、基本的には違うグループに分けられます。綜絖を操作すると、経糸はグループ単位で上下(前後)に動き、2つの面の間に緯糸を通すための 杼口(ひぐち)と呼ぶ隙間が出来ます。この隙間は、経糸と緯糸を交差させるためにあります。この隙間(杼口)に緯糸を通し、筬(おさ)やへら等によって緯糸を打ち込 みます。この操作を繰り返す事で織物が出来ていきます。織物の幅は、手織り機では織手が手の届く幅(腕を広げた幅)に制約され、幅広の布を織る場合は複数人の織手が 必要となります。また、飛び杼が発明されて以降は、広幅の布地を織ることが容易になりました。手織りでは、緯糸は杼(ひ)に直接巻き付けたり、小管に巻きつけた上で 杼に収めて用います。また、多くの色糸を用いる複雑な手織物や太い糸を使う敷物などでは杼を使わない場合もあります。現代では、レピア織機やエアジェット織機等の無 杼織機が高速の機織りを実現しています。 |