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職人としての重要な役割   真綿紬を例にとって説明します。 染織産地特に紬織物産地で必要とされているのは、真綿と真綿紬糸の供給です。現在、日本の真綿紬糸の紡ぎ手は、結城紬（ゆうきつむぎ）産地以外はほぼゼロという状態です。その他は、殆ど輸入の中国産真綿紬糸と言われています。よって、日本の真綿紬糸の技術を確立しなければ、織物産地の存続にもかかわる事になります。そこで重要な事は、真綿の紡ぎ方法を国内で確立する事です。また、繭からの糸引き・製糸・繭（養蚕）もしかりです。 一般の方々に真綿の紡ぎの実演させて頂くと、真綿を「棉のワタ」と勘違いされる方が見受けられます。「棉のワタ」は棉という植物から木棉を取り、「真綿」は蛾の一種である蚕の繭を加工して真綿を作ります。木棉は植物性で、真綿は動物性です。そして、木棉は繊維長が短く、真綿は長繊維です。よって、この違いを明確に伝える所から若い方々に知って頂く事が必要になってきています。   ところで撚糸は、このどちらも必要な工程です。 糸屋の下請けで撚糸された糸を織物業界では、染織業界の方が購入されます。購入者は、撚られた糸が何処で作られ、何処で撚糸されたかは見えづらいままに、糸屋から購入しています。国内に流通している絹糸の９９％以上が中国産・ブラジル産です。よって、撚糸も輸入される時点で行なわれている事が一般的になりつつあります。規格撚糸の撚りは、糸屋が国外に依頼して「糸屋の撚糸」として販売しています。 この事から撚糸という行程が表面に出る事が難しく、日本で作られた糸が日本で撚糸され販売されているかは判断が難しいのです。