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以前は生糸の代用品的な安価な糸という位置付けでしたが、現在では希少価値に加え、糸作りの素朴さ・糸味・風合いの良さ等が好まれ手織りの世界では貴重な糸になりました。 一応、目的の規格標準は110中ですが、下村ねん糸では60中と110中を信州の岡谷にて依頼しています。


3、真綿紬糸(まわたつむぎいと)

本来、糸にできない屑繭(くずまゆ)を真綿にして引き伸ばしたものを手紡ぎした糸を「真綿紬糸」と言います。繭の状態で、アルカリ液で煮る事で、繭は棉状の真綿になります。 真綿は、基本的に繊維が長いままなので、撚りをかけずに糸状に引き延ばすと糸になりまが、一般的には紡毛機と同じ原理の電動フライヤーを用いて真綿紬は作られています。現在ではその多くが中国からの輸入に頼っています。

「真綿の作り方」

1)煮繭
通常の繭は製糸工場に送られますが、玉繭や出殻繭・汚れ繭などを原料とします。蚕の口から出された繊維は、セリシンという膠質で包まれていますので、セリシンを取り除く 為に繭を袋に入れ、アルカリの入ったお湯で約1時間煮込みます。(正繭又は玉繭1 リットル重曹12グラム(4グラム/1リットルのお湯) 水3リットル(繭量の3倍))。このアルカリ煮繭を、繭の中の蛹がまだ生きている段階で行った場合には、「生掛け真綿」 と呼び、糸ツヤが良く、光沢もある最上の糸になると言れてます。

2)真綿かけ
煮繭を上手に行うと繭の中の蛹が見える薄い箇所が現れます。この箇所を指で拡げ、くるっと裏返して中の蛹を捨て、5〜6個分の繭がたまったら釘を打った「キガケ(木掛け)」 と呼ばれる木製の枠に引っ掛けて四角い真綿にしていきます。こうして出来た綿の事を角真綿と呼びます。(角綿・角版とも言います。)もう一つの方法は、7〜8個分の繭を拡げ、 これを水の中で両手を使い袋状にし、袋真綿と言います。(袋綿とも言います。)農家の副業として広がりましたが、角真綿の真綿は、耳の部分が厚くなっていて取りづらい為、袋真綿が導入されて後「いい糸を取り易い」 事から終戦後には殆どこの袋真綿に変わってしまいました。(現在結城紬で使われている袋綿の100パ−セントは、福島県伊達市保原町で生産されています。)