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絹糸の種類


1、生糸(きいと) 繭には一頭の蚕が作った正繭(せいまゆ)と二頭以上の蚕が一つの繭を作った玉繭(たままゆ)が有り、生糸は正繭で製糸した糸、本糸(ほんし)という事も有ります。
蚕農家で生産された生繭(なままゆ)は製糸工場に持ち込まれ、繭の中の蛹(さなぎ)が孵化する前に殺蛹(さつよう)と長期保存が可能な様に熱風で処理をした乾繭(かんけん)として保存します。その繭を煮繭(しゃけん)し、製糸機で繰糸された糸が生糸原糸です。
繭糸のセリシンが持っている水溶性膠質の特性を上手に利用して繰糸された生糸は、殆どの糸が自動繰糸機(じどうそうしき)で目的の太さ(デニール)に繰糸されます。
現在の家蚕の繭は、1粒約3デニールです。繭7粒平均で繰糸を行なうと21デニールの生糸、9粒平均ですと27デニールとなります。そしてその太さは、センサーが感知して目的のデニールの糸が作られています。
蚕が繭糸を吐き始める最初・中頃・最終とそれぞれその太さ・断面の三角形の形が異なる為自動繰糸機で作られた生糸であっても合成繊維の様に最初から最後まで太さが一定という事は有りません。そこで21デニールの生糸は、21デニールを目的として作られた生糸であり、21デニールが中心で有る事から21中(なか)と実際の取引では呼びます。
規格のある生糸としては、21中・27中・31中・42中となります。それを使い、目的の織物や編み物に合わせて合糸本数・撚り回数・撚り方法 等を工夫して撚糸を行い、一般的な規格生糸では規格撚糸と呼ばれる生糸が作られています。
下村ねん糸では、昔ながらの座繰り方式で糸を作り、独特なねん糸を行い、目的の織糸や編糸を作っています。



参考1
生繭で入荷した繭は、熱風に当て「殺蛹(さつよう)・殺蛹(さつよう)」を行います。中の蛹は、死んでいるので腐らないよう乾燥温度を調節して乾繭で保存します。そして70〜80℃に沸かした鍋に繭を入れ「座繰り」を行ないます。続いて座繰器で小枠に巻き取った糸を大枠に巻きかえる「揚げ返し」を行い、最後に大枠から外し一束ずつ束装して生糸の完成となります。

参考2
煮繭は、繭を湯で煮て柔らかくする作業です。 セリシンという膠質(にかわしつ)性質を利用した繰糸(そうし)の第一歩の作業です。