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注:宮坂製糸所(長野県岡谷市)で稼働する製糸機
1、諏訪式撚糸
中国に端を発する製糸技術がシルクロードを経て西回りでヨーロッパ伝わりさらに日本に到来してきた手法です。フランスやイタリアの繰糸機を基に明治初年岡谷で開発されました。繰糸張力が低い事から柔らかい風合いの糸が出来ます。適当な繊度ムラがあり、それが皺になり難い織物の大きな要素になっています。明治・大正期の織物が、現在でも評価されている事はこの糸に追う事が大きいとされています。主に和装用として出荷されています。
2、上州式繰糸
中国からシルクロードを経て東回りで伝来してきた手法を日本で改良し、江戸時代後期頃から使われた手法です。通常は、玉繭を用い節のある玉糸を作ります。撚り掛けが少ない事から抱合に甘さがあり、それがよりかさ高で軽い手作りの良さを出す一因となっています。素朴さを求めるのは無くてはならない素材です。主に紬の素材として出荷されています。
3、自動繰糸(日産FR小型自動繰糸)
諏訪式・多条機から発展してオートメーション化した機械で中国やブラジルで大量生産されており、通常の生糸はほぼこの方式で作られています。



精練(せいれん)

繊維には、本来持っている色素や不純物・製糸や製織時の汚れが有ります。これらを取り除く工程を精錬と言います。絹の場合には、それらの他に生糸を構成している繊維(フィプロインとセリシン)からセリシンを取り除き、フィプロインだけの光沢のある絹らしい繊維にする事です。今では、石鹸やソーダ等のアルカリ剤・タンパク質分解酵素 等が使用されますが、昔は稲わらや木灰から取った灰汁(あく)を使用しました。

下村ねん糸では、最近は草木染にはトラブルが少ない酵素精錬を使用しています。
先染め織物 ・・・ 精錬を行い糸を先に染め製織する。   
後染め織物 ・・・ 未精錬の生糸で製織し、生地精錬を行う