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恒長式のデニール表示の絹糸は9000mの長さの時、1gの重さのある糸を1D(デニール)、21gの重さが有れば21D(デニール)の糸という事になります。公式としては9000×g÷m=D となります。 しかし絹糸の場合には、糸は撚糸され精錬された糸である事を注意しなければありません。それは、生糸原糸の21中等のデニール表示は、撚りの入っていないセリシンの着いたままの未精錬の平糸で有るという事です。絹糸の太さは、この原糸の平糸のデニールを1つの太さの基準としている為、同じ条件で実務的な太さ計算をする必要が有ります。 下村ねん糸では、下記の様な計算方式を行っています。 ・未精錬撚糸 撚り縮み率を約3%として、9000の係数を修正して 8700×g÷m=Dで計算 ・精錬済撚糸 セリシン率約23%で計算し11300×g÷m=Dで計算 (一般的に糸の長さは、「綛糸(かせいと)の枠周×巻き取り回数」で計算できますのでこれによって太さを割り出す事が出来ます。) 絹糸は基本的にはデニール表示ですが、短くカットされた原料で出来た絹紡糸・絹紡紬糸に関しては綿番手もしくはウール番手のどちらかが使用されています。 注:綛(かせ)とは、京都では4.2尺(1.27m)の枠周の糸の輪の事です。 揚げ枠を使って、管から綛へ糸を巻き取ります。 糸の長さは、一般的に「綛糸(かせいと)の枠周×巻取り回数」で計算しますので、この表示か長さ表示がないと太さは計算出来ません。また、タテ糸の整経長の計算等の織物設計も困難になります。 糸は、「その作り方・撚り方・撚り回数」等の各条件で風合い、崇高さ、表情等が著しく異なる為、数字だけで糸の太さを計り判断する事は難しいと言えます。然しながら、その数字は糸の購入や染織する場合の指針になります。 絹糸は基本的にはデニール表示ですが、短くカットした原料を使用している絹紡糸や絹紡紬糸に関しては、綿番手とウール番手のどちらかが使用してある事も忘れてはならない事です。 |