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1) 繭精練
 繭精練するとセリシンはほとんど洗い流されて、繭は真綿の状態になります。ハンカチ状に伸ばした角真綿・袋状にした袋真綿・帽子状に伸ばした帽子真綿など、真綿紬糸や真綿 布団の原料としてそれぞれの形状で取り引きされています。また、真綿染色して糸紡ぎすると糸染色とは違う可能性が広がります。

2) 糸精練
 織物にはで精練を行う先練り織物(先染織物)と織り上がった布で行う後練り織(後染織物)があります。製糸されたままの糸や撚りをかけていない生糸原糸は、余程太い糸で ない限り糸精錬する事はありません。 撚りのない糸の精練は、セリシンで1本の糸に集束されている糸がバラバラになってしまい、1本の糸として巻き取ることが困難で、糸も毛羽立ち美しく仕上げることが難しくなります。糸精練は撚りかけした糸であること が原則で、その精練糸を染色し、縞・絣・紬織りなどの先染織物が織られます。精練方法には昔ながらの「袋練り」・「竿練り」や自動化された噴射式染色機による噴射式精練法があります。  自動繰糸機で機械的に作られる生糸は、繊度感知器によって規格生糸(21中・27中・31中・42中)として製糸されています。規格生糸の場合は、その合糸本数から使用する織糸の太さがほぼ正確に計算できます。 例えば、生糸21中を10本合糸した織糸なら、21中×10=210中、すなわち210デニールの太さの糸なのです。この太さは、デニールの公式「900×g÷m=D(デニール)」で計算してもほぼ同じ答えが出ます。 それほど現在の自動繰糸機での糸の太さは正確なものです。しかし、規格外の糸や経験で人が太さを管理する座繰り糸、目的繊度が定まりにくい玉糸や繊度の太い糸などはその誤差が大きいので、長さ(メートル)と重さ(グラム) により正確な糸のデニールを計算し、数字で確認しておくことが大切です。というのは、経糸本数を計算し筬の羽数を決定する時や、経糸と緯糸の密度のバランスなど、糸の太さはその織物の地風を決める大変重要な要素なのです。

3) 生地精錬
 未精練の糸で、セリシンの膠質(にかわしつ)を天然の糊という感覚で製織し、生地の状態で精練します。生地精練した絹布を白生地と言い、浸染して無地染めや絞り染・引き染めや友禅・プリントなどの染色技術を駆使して様々 な後染織物が作られます。

6 糸の太さ(繊度)・長さ・重さ

 絹などの長繊維のフィラメント糸は、長さを基準とした恒長式のデニールという単位で糸の太さを表示するのは前述した通りです。450メートルの長さを取ったとき、0・05グラムの重さがある糸を1デニール。 9000メートルで1グラムの重さの糸が1デニールなので、9000メートルで21グラムの糸は21デニールということです。