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3 絹糸の品質 絹糸の品質は、まず繭に良否を知る事から始まります。日本の養蚕は、「糸量と強健な繭の安定化」を前提に繭の改良を重ねた結果、どのような蚕種名であってもそれぞれの特徴が無い標準化した繭になっています。良質な蚕種は、糸長が長く大きな繭を作り、その繭糸は太く、製糸時にも強くて効率的です。 その繭から採れる糸(繊度ムラ・糸ムラ・糸節などの無い均一な糸)が、品質検査による生糸の格付けでは、上位から順に6A・5A・4A・3A・2A・Aと順位が付きます。「規格性や均一性」を良質の第一条件とする業界では、この「生糸の格付け」が重要となります。 然しながら、昨今の「絹需要の減少・最終消費者のニーズの個性化・多様化は、「生糸の格付け」に変化をもたらしています。特に手織り、草木染をされている人達は、個性のある繭の糸の評価が高くなって来ています。織手やその布を活用する人の立場からのニーズが、ようやく養蚕家・製紙業界に影響を与える様になりました。その例として「繭のブランド化・ブランドシルク」の開発が挙げられます。 絹糸の品質には、もう1つの大切な要素が存在しています。それは、糸の作り方「製糸」です。製糸は、製糸メーカーの糸作りの姿勢により、糸の品質は大きく左右されます。現在1999年当時においては、国産の糸が減少していた為に、「繭の産地・蚕年齢・蚕種」が異なる繭の混合が日常的になっていました。(場合によっては、外国産繭も混入) また、製糸における生産性のスピードは、効率を優先するのではなく、繭本来の良さを活かしたスピードで行う事が、絹糸の本質を導き出す事が出来ます。つまり、製糸スピードの調整は、生糸の格付け評価に現れてこない「糸の艶や染色性」に影響を与えています。 製糸の方法には、「自動繰糸機・昔からの座繰り機・多条式」 等がありそれぞれ出来上がる糸の個性を引き出しています。 |