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6、糸の太さ(繊度)・長さ・重さ 絹等のフィラメント糸は、長さを基準とした恒長式の「デニール」という単位で糸の太さを表示します。450メートルの長さを取った時、0.05グラムの重さがある糸を、1デニールといいます。よって、9000メートルで1グラムの重さのある糸が1デニールという事になります。9000メートルで21グラムの糸は21デニールという事になります。 生糸取引では、21デニールの糸は21中と呼ばれ、デニールの代わりに「中(ナカ)」を太さの単位に使用しています。 自動繰糸機で機械的に作られる生糸は、繊維感知器により規格生糸(21中・27中・31中・42中)として製糸されます。 規格生糸の場合は、その合糸本数で使用する織糸の太さがほぼ正確に計算可能です。 例えば、 生糸21中を10本合糸した織糸ならば、21中×10=210中、すなわち210デニールの太さを備えた糸なのです。この太さは、デニールの公式「9000×g÷m=D(デニール)」で計算したとしてもほぼ同じ答えになります。 それほど現在の自動繰糸機での糸の太さは、正確性を持っています。 しかし、「規格外の糸」「座繰り糸(経験で人が太さを管理している)」「玉糸(目的繊度が定まりにくい)」「繊度の太い糸」 等は、その誤差が大きくなります。 経糸本数を計算し筬羽決定する時、経糸と緯糸のバランス 等、糸の太さはその織物の地風を決める大変重要な要素となります。よって、長さ(b)と重さ(グラム)を使用して正確な糸のデニールを計算し、数字で確認をする事が大切です。 注:織物は、経糸(たていと)と緯糸(ヨコイト)で織り出されます。染色された経糸は、はじめに整経という過程で引きそろえられ、織物の長さ分が織機にセットされます。 緯糸は、経糸の間をくぐり、柄を織り出していきます。 公式は、あくまで糸の長さと重さでデニールを算出します。この場合、使用する糸は撚糸され、精練処理された糸です。「生糸原糸21デニール」の表示は、撚りの入っていないセリシンの付いた未精練の「平糸」になります。 生糸の太さは平糸の状態を1つの太さの基準として使用していますので、同じ条件で実務的な太さを計算しておかないと染織実務には役に立たない事になります。 そこで、規格生糸の原糸の太さに対し、撚糸した未精練の場合には、撚り縮み率を約3%と計算してし、9000の係数を修正して「8700×g÷m=D(デニール)」で計算します。 また、精練してセリシンを落とした生糸の撚り糸の場合には、セリシン率を約24%と」計算し「11300×g÷m=D(デニール)」で計算し、使用された絹糸の元の太さを推定します。この公式は、実際の織物設計をする時に役立ちます。綛糸(カセイト)の長さは、一般的に「綛糸の枠周×巻き取り回数」で計算します。 よって、「巻き取り回数か長さの表示が有る糸」で無いとデニールも計算できず、織の設計上、大変困る事になります。 |