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日本竹筬技術保存研究会(通称:竹筬研究会)は2003年7月に文化庁の文化財部伝統文化課の近藤都代子さんの助言により設立した団体であり、もう一度、竹筬を復興するために活動しています。竹筬が製作できなくなった直接の原因は、全国の竹筬屋さんに唯一竹筬羽を供給していた岐阜県穂積町(現:瑞穂市)祖父江の日本竹筬工業(代表:豊田亨さん)が竹筬羽の生産を停止し、会社を解散されたことです。そのため、全国の竹筬屋さん(その実態は、竹筬の「組み」屋さん)の全てが停止しました。竹筬羽の工程は、大きく分けて
1:竹材を目的の厚さまで削る工程
2:削られた竹材をさらに精緻に削り、油を引き、焼くまでを含め竹筬羽に仕上げる工程
3:竹筬羽を組んで竹筬にする工程
の3つに分かれており、各工程が基本的には各職人さんの分業になっておりました。分業体制から、2の竹筬羽の仕上げをされていた唯一の職人さんである森助一さんが仕事を停止されたことにより、日本竹筬工業の竹筬羽生産が停止し、その結果、全国の竹筬屋さんの竹筬製造も停止したため、竹筬は入手できなくなりました。

竹筬研究会での竹筬作りは、1〜3の工程を日本竹筬工業の職人さんから助言を受けて再現させようと努めました。資金面では、芸術文化振興基金の助成金をいただきました。竹筬製作の技術を伝承し、後継者を育成し、もう一度竹筬を復活させ、染織をなされている方々のご要望に応えるべく、月2回の祖父江での会員による研修会を開催しています。活動も5年目に入り、現在は自分用の竹筬を製作できる会員が5名になりました。2008年度の目標は試作竹筬による試織織物展を計画しており、現在は宮古上布、八重山上布、喜如嘉の芭蕉布、志村ふくみさん、郡上紬の方達などといった染織家の方々に試織用竹筬を提供しております。既に、試織が終わり出来上がった織り物が拝見できるものもあります。最近では、文化庁の近藤さんのアドバイスもあり、久留米絣、小千谷縮、越後上布用の試織竹筬も製作中であり、一層の竹筬の制度の向上を目指して、会員一同研修を重ねています。