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「遷宮と伊与生糸(愛媛県)」 |
伊勢神宮では、平成25年10 月に62回目を数える式年遷宮が行われました 。式年遷宮とは、20年に一度、社殿・御神宝・御神宝・御装束など全てを新調し、 神様に新しいお住まいへ、お移り頂く儀式の事です。今から1300年ほど前に持統天皇が始められたと言われています。 「遷宮祭の御料糸」 式年遷宮に使われる(御料糸)は、遷宮から8年程前から伊与生糸が使用されているようです。使用する蚕は、昔の蚕の様に細い糸を吐く「あけぼの」とい う品種を使用しています。繭から生糸を採る時に伊勢神宮から神職が来られ 「生糸繰糸 (そうし)始め式」が行われます。生糸を採る時に、「生繰り(なま ぐり)」という作りたての繭を煮て、糸を繰る方法を用います。今では、こうした昔の 手法 を見かける事はありませんが、愛媛のシルク博物館ではこの 「生繰り」を基本とし乾燥させた繭を使用しません。繭は、熱風で乾燥させると中の蛹は干乾びますので、蛾になって繭から出て来る事は無く、湿気が無い ため繭にカビが生えることもありません。この方法は、貯蔵可能で一年を通して対応出来るので一年を通して生糸作りが可能です。しかし、敢えてこの方法 を採用しない事が特徴です。繭は昆虫が作った蛋白質である為、たとえ僅かでも熱にあたると変性してしまいます。生糸本来の光沢を活かすには、「生繭か らひいた生糸の方が優れるという生繰り」が適していると言われています。 また、一本の生糸を作る為に「あけぼの」は、繭糸が細いので 9~10 粒必要とします。一本の生糸を作る時に、太い繭糸であっても数が少ないものより、細 い繭糸を多く合わせた方が、強く・しなやか糸になります。よって、細い繭糸を多く合せた糸を使用する事・生繰りという手法を採用する事が、昔の織物に 近づける事が出来るそうです。 注:昭和 28 年(59 回)に大洲市の今岡製糸 昭和48 年(60 回)に大洲市の今岡製糸 平成 5年(61 回)に、伊予蚕糸農協連合会(今岡製糸と桝田製糸 などが統合) 〔参 考〕 「愛媛蚕糸業のあゆみ」・「愛媛官庁HP」 等 |