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されている推古天皇による詔)の内容は、「大徳・小徳・大仁・小仁・大礼・小礼・大信・小信・大義・小義・大智 ・小智」の12位を定め、その「各位にあたる色を以って着衣する」というものです。 そして、647年に改めて裁定された「冠位十三階」(冠位十三階では明確に紫色が最高位と記載されています。)や「五行思想」との関連か ら、この「徳・仁・礼・信・義・智」にはそれぞれ、「紫 ・青・赤・黄・白・黒」が当たる色目という解釈が定説となっているそうです。鎌倉時代には、身分の高い武士の身に着ける甲冑の紫縅(むらさきおどし)に、江戸時代に は京紫や江戸紫の色は庶民には 手の届かない高価で憧れの色として染められてきました。
2)紫草と万葉集
万葉集にムラサキを詠んだ歌が17首あります。
*例
「茜さす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る(額田王)」と詠われています。(紫草を栽培している天智天皇の畑で、元恋人の大海人皇子が大胆にも、天智 天皇の妃になっていた額田王に向かって手を振ります。そこで額田王が、「そんなに私に手を振ったら、畑の番人に見つかってしまうわ」)この歌から、紫草が天皇の「標野」、つまり標識によって囲われていた領地で 栽培され、番人によって窃盗から守らねばならないほど貴重であったということが解ります。
3)紫根の特殊な染め方
927年の延喜式の十四巻縫殿寮の末部「雑染用度」に、染め色34色分の材料が掲載されています。この染色記述資料で「紫草」という名称で、高貴な色を染め出す際の染色材料に多用されていると記載されています。 また、紫根に含まれるシコニン・誘導体は、70℃~80℃の温湯で晒されると色が濁ってしまう性質があり、熱湯を染料にかけながら擦ったり揉んだり杵などで突いたりし、負荷を かけ色素抽出行います。また、シコ ニンは水に溶けない事から色が濁らない程度の温湯で染色をします。媒染剤は、椿の灰を使用します。(椿灰に含まれるアルミニウムによる媒染効果を利用)染液のみで染色を終了する か、媒染液で了するかによって、赤み・青みが変化します。よって、紫根で染める際には延喜式の記述でもわかるとおり染液には米酢を入れます。この特性を利用し、江戸時代以降 には「京紫(赤み)」「江戸紫(青み)」 を染め分けていました。媒染剤は、椿の灰を使用します。(椿灰に含まれるアルミニウムによる媒染効果を利用)染液のみで染色を終了するか、媒染液で了するかによって、赤み・