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に行

*肉 桂(にっけい)
クスノキ科の常緑高木で、インドシナが原産です。日本へは享保年間に中国から輸入され、盛んに栽培されました。樹皮を染材とし、塩化第一錫で媒染すると明るい赤茶色・硫酸銅で媒染すると渋い茶色に染色出来ます。


は行

*黄 櫨(はぜ・うるし)
ウルシ科の落葉高木で、沖縄以南に分布し、樹皮は灰褐色です。黄櫨は、黄櫨の木・琉球櫨・蝋の木とも呼びます。そして、幹材の染液で黄色、葉を使って萠黄、青味の鼠、樹皮は松皮と五倍子(付子)とを合わせて黒、 また木片と蘇芳(すおう、蘇枋)の煎汁に米酢と灰を加えて染め出す「黄櫨染(こうろぜん)」などの色が染められます。
注:黄櫨染
黄櫨染とは、櫨(はぜ)の樹皮と蘇芳(すおう)から染められた色で「黄色がかった茶色」・「赤みがかった黄色」と言われる黄色と茶色の中間の色で、嵯峨天皇以降の天皇の袍(ほう)の色とされてきました。黄櫨(は じ)の樹皮に、蘇芳(すおう)の心材、灰汁(あく)、酢などを混ぜて染めたものと、紫草を用いたものとがあります。


*浜茄子(はまなす)
バラ科の落葉低で、水捌けの良い海岸の砂地に自生し、浜梨(はまなし)とも言います。樹皮や根皮の染液を使用して黒や黄褐色に染色出来きます。また、秋田八丈の鳶色(赤茶色)は浜茄子の根を使用して染色しています。 注:秋田八丈 秋田では、畝織・竜門織・秋田平が享和年間までに奥州出身の石川滝衛門により確立しました。また、佐竹藩は文化年間に藩の殖産を目指し桐生から菱沼甚平を招き、染色・機織を指導させました。甚平は、黄八丈に 習い 八丈格子を製織し秋田絹を確立し、金易右衛門・関喜内らと秋田海岸に自生する浜茄子の根を染料として独自の鳶色を作り出します。