戻る 次へ


注 蘇芳色とは
黒味を帯びた赤色で、蘇方色、蘇枋色とも言います。蘇芳は、染料となる植物の名前で、この色はこれをアルカリ性水溶液で媒染したものを指します。今昔物語では凝固しかけた血液の表現にも使われています。 注 重ねの色目とは
平安時代(794年~1192年)から鎌倉・室町時代(1192年~1573年)の貴族の装束の色の事です。また、「かさね」を「重(かさね)」と書く場合は、衣の表地と裏地を重ねた時に出来る 「重層色」をさし、 「襲(かさね)」と書く時は、衣を重ね着した時に出来る「配合色」を指します。
例:「蘇芳の匂」
表:淡蘇芳・淡蘇芳・蘇芳・蘇芳・濃蘇芳・青
裏:淡蘇芳・淡蘇芳・蘇芳・蘇芳・濃蘇芳


た行

*丹殻(たんがら)
熱帯・亜熱帯の河口に分布するマングローブで「紅樹皮」とも呼び、一般的によく知られているものは「オヒルギ・メヒルギ」があります。丹殻は、一種のタンニン剤で化合すると黒くならずに黒緑色になりま す。鉄媒染で標本のような褐黒色になり、石灰媒染で赤茶色に染まり、銅媒染で赤茶色、錫・クロムの媒染で橙黄色、明礬媒染で黄橙色に染まります。

*椨(たぶのき)
クスノキ科の常緑高木で暖地の海岸に自生し、樹高が15m程度になります。染材には、暗白色の樹皮の生皮を使用し、晩秋から冬にかけて採取した皮が最適とされ、海岸の断崖に生えている木が染め上がりの 色や艶を良くすると言われています。日本では平安時代に中国から輸入され、香料・薬用として珍重されました。公家の間では、帷子(かたびら)・単(ひとえ)・また袈裟(けさ)・扇の地紙 等を染色していました。 染色には、染料となるのは蕾の煮汁で、媒染剤を用いずに染色すると白茶に近い色になり「淡き香・香色」と呼びした。また、鉄媒染で、濃香(こきこう)・黒味(くろみ)香 等の濃淡を染め分けが出