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が含まれ、空気中で酸化されて「ブラジレイン」という可溶性の赤色色素になります。そして、 灰汁 ・ミョウバンのアルミニウム媒染では、
やや茶色みや紫色みのある赤色に染色でき、鉄媒染で黒っぽい紫(似紫)に染色でき、木灰 等のアルカリ性水溶液の媒染で赤紫に染色できます。例えば
明礬(みょう ばん)による下地に、酢酸ア ルミで媒染すると赤色、薄めた染液を錫塩で媒染すると桃色、塩化鉄で媒染すると赤紫色、また下地無しで、塩化鉄で媒染すると紫色が染まります。ほかに、
錫塩、明礬の媒染剤で 暗赤色のレーキ となり、クロム塩類で海老茶、銅塩類で褐色などになります。さらに、この蘇芳と櫨(はぜ、黄櫨)の交染(黄櫨染(こうろせん))では、黄味がかった茶色が
染 められます。 注 レーキとは 酸 性染料や塩基性染料などの水溶性染料を適当な金属と結合させるなどして水に不溶性としたものの総称です。 中国では、毛織物や絹織物の他に木材を蘇芳で染め、 紫檀のイミテーションを作っていた そうです。 日本では紅や紫根の代用品として貴族社会で愛され、蘇芳花もしくは蘇芳泡と呼ばれる日本画の絵具 として使用され、紅と同じく心材を煎じ詰めて陶器 などに塗って乾燥させて用いていま した。また「重ねの色目」にも使用され、 色目は樹の断面を模した表は薄茶、裏は赤色の通年使用可能な重ねでした。 そして、平安時代中期の「延喜式」には、 天皇が「即位の礼」にお召しになる絶 対禁色の黄櫨染(こうろぜん)や、禁色の深蘇芳(ふかきすおう)や 浅蘇芳(あさきすおう)を染色したと記載されています。 その後、江戸時代に庶民の色にな り、茜や紅花の代わりの赤を染める色と して使用されました。そして、鉄媒染で染める(似せ紫)は当時高価だった紫根の(古代紫、本 紫)に代わる紫色として流通しました。 深蘇芳(ふかきすおう) 芯材 / アルミ媒染 浅蘇芳 芯材 / アルミ媒染 蘇芳色 芯材 / アルミ媒染 樺茶(かばちゃ) 芯材 / 銅媒染 似せ紫(にせむらさき) 芯材 / 鉄媒染(鉄漿おはぐろ) 黄櫨染(こうろぜん) 櫨+蘇芳芯材 / アルミ媒染 |