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*桑
桑染は、古くから用いられた染料で、褐色を帯びたくすんだ黄色の事です。「衣服令(日本では701年(大宝1)の大宝律令の衣服令で,礼服(らいふく),制服と並んで規定された。唐の制度にならったもので, 有位官人 層の〈朝庭公事〉(朝廷の儀式行事や日常の勤務)の際に着用すべきものとして定められた。)」は、黄より段階上位の色として記載され、江戸時代には桑染の色を桑茶(くわちゃ)と呼んでいました。そして、桑 の樹皮 の煮汁で薄黄色に染まります。細かく刻んだ桑の幹材を水と共に煮煎し使用します。植物繊維を染める場合は、豆汁などで下染めをし、先媒染法によるアルミ媒染後に、染色を何度も繰り返し染めていきます。

桑茶色      幹材 / アルミ媒染

*胡桃(くるみ)
胡桃染は、灰がかった黄褐色で、樹皮や果皮の煎汁と灰汁で染めます。奈良時代には写経用の染紙に使用され、薄茶系統で濃度により「深・中・浅」の三級に分類されています。また、『源氏物語』『明石』にも「高麗の 胡桃色の紙に」と記載され、正倉院文書にもその名が記載されています。胡桃色は、鬼胡桃・姫胡桃 等の樹皮を使用して染色しますが、現在では緑葉か緑の果皮を使用して染めています。胡桃色の染めかたは、鬼胡桃・ 姫胡桃 等などの樹皮を用い、緑葉や実の果皮で染めると椅麗な色になり、濃度が高くなります。現在では、緑葉か緑の果皮を使用します。
・染色方法
樹皮・緑葉(9月採取)・未熟な果皮を使用し、材料・時期・部分・媒染剤により、黄味の茶色・濃い茶色・赤味の薄茶色・小豆色・黒味の赤茶色に染色できます。しかし、「くすんだ色」を染める場合には、鉄媒染で黒 く変化しないので他の染料と併せて使用します。媒染剤によって.黄味の茶色、濃い茶色、赤味の薄茶色、小豆色、黒味の赤茶色に染色出来ます。そして、動物繊維(絹・毛)には蛋白質があるので染液が浸透そますが、 植物繊維(麻・木綿)は染まり難くなります。よって、豆汁(大豆を摺って搾った汁)を使用します。