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― 染色方法 ―
1)刷毛染め
厚地の生地や製品染めに適しています。ムラ無く染めたい場合には、柿渋を水で2~3倍に薄め染色回数を増やします。そして、刷毛の描き方や重ね染で色々な柄も作る事ができ、 回数を重ねる毎に色が濃くなります。 また、色止めとしての媒染は行う必要はありませんが、急速な色の変化を押さえる為に弱アルカリ処理を行う場合があります。
2)浸し染め
糸・薄地の生地を染色する場合に使用します。
3)型染め
「型の部分を染める」または「白残しする」かで技法が異なります。糊を置いて白残しする技法を「型染め」と呼び、和紙など一閑張りにも応用します。

*樫(かし)
ブナ科の常緑高木で、果実は「どんぐり」と呼び、種類は白樫・赤樫・荒樫 等があります。枕草子に「白樫といふものは まいて深山木の中にも いとけ遠くて 三位二位のいへの衣染むるをり ばかりこそ 葉をだに 人の見るめれば をかしきことめでたきことに取り出づべくもあらねど」とあり、白樫で黒袍(くろほう)を染めていたと詠われています。よって、古くから樹皮を用い黒染・樹皮で は鉄媒染(例;塩化第一鉄)で黒鼠 から黒色を染色・灰汁媒染(例:明礬)で茶・鉄と灰汁の併用で焦茶色を染色してきました。また、堅果(どんぐり)や殻斗(かくと)では、灰汁媒染で橡色(つるばみ いろ)といわれる茶色・鉄媒染で黒橡(くろつる ばみ)といわれる黒茶色が染色出来ます。
・樫の実の染色
ドングリ類の染色は、灰汁媒染による黄橡・鉄媒染による青み掛かった黒・アルミ媒染でベージュ(茶系)・鉄媒染で薄鼠色 等に染色出来ます。そして、灰色は銀鼠・利休鼠・青鈍(あおにび)・梅鼠・ 紫鼠・空五倍 子色(うつぶしいろ)・素鼠・灰汁色・灰色 等の呼び名が付けられて来ました。染色方法は、採集してきたドングリ(樫の実)を陽に干し、煮出し、茶色がかった染液を採取するか、または5回以上煮出して採取します。 そして、鉄媒染を行うと紫がかった銀色になります。