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う行 *梅 中国原産で、日本への渡来は不明ですが「万葉集」に100首を超える歌が詠まれている事から、奈良時には既に広く栽培されていたと言われています。梅染は、枝や樹皮に 付くウメノキゴケ を煮出して布を染めます。そして、梅染の起源は飛鳥時代で、加賀友禅の源流と言われています。また、室町時代の記事に加賀の国独特の染め技法であった無地染の 「梅染」について記載が あります。(加賀友禅の名称は、近世につけられた呼称で、以前は「加賀梅染」と呼ばれていました。)そして、1540年 (天文9年) には「梅染・赤梅・黒梅の三品あり、梅や渋にてさっ と染めたるは梅染、少し数を染めたるは赤梅、度々染めて黒味あるは黒梅なり (『日用三昧記』) 」と記載があり、初期の梅染めが徐々に変化している事が解ります。初めは、梅の樹液から 抽出した色料や柿渋による染汁を用いた無地染でしたが、模様が加えられたのは正 保年間 (1644〜1646年)の頃で「色絵紋」の技法として発達していきます 。「色絵紋」は、定紋の周りを松竹 梅や鶴亀などの意匠で囲んで彩色したもので、金沢一帯に伝わる加賀紋と して発展し、加賀友禅の原点となりました。現在は、月ヶ瀬梅林がある奈良市月ヶ瀬地区では、烏梅と紅花を組み合わせ た染色が行われています。また、梅には「クエン酸」が多く含 まれているので、紅花から「紅」の色素を取り出す時、その天然のクエン酸を染色の「媒染剤(ばんせんざい)」として利用します。 梅色(うめいろ) 枝先 / アルミ媒染 薄橙(うすだいだい) 幹材 / アルミ媒染 紅鳶色(ばにとびいろ) 樹皮 / 銅媒染 樺色(ふかばいろ) 樹皮 / アルミ媒染 注:染め方 1)媒染法を用いて染色をします。 2)鍋に刻んだ幹材や樹皮と水を入れて沸騰させ煮煎し、一時間程したら布で濾し、煎液を染色原液として使用します。4回程煎 |