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― 昭和初期 ― 第二次世界大戦に入ると藍は栽培禁止の作物になります。
注:乾燥葉染め
藍葉を乾燥させ用いる方法です。そのままでは色素が繊維に沈着しない事から還元反応を行い、色素の沈着が可能になり、生葉に比べて無駄なく染色が可能になります。
注:蒅について
蒅とは、乾燥させた藍の葉に水を加え発酵させる事です。収穫した藍を乾燥させ、手で揉みながら粉砕し、茎やゴミを除き、葉のみの状態にします。そして、粉砕した葉と水をよく混ぜ合わせ発酵し、 一ヶ月程熟成し日陰で乾かします。そして、出来上がったスクモに灰汁・石灰を混ぜ、phをアルカリ性に調節し、「ふすま(微生物の養分となる)」と呼ばれる小麦の糠・酒・ブドウ糖 等を加え、 藍建てす る事で藍の染料液が出来ます。染色には、蒅を水甕で醗酵させてから行うので(醗酵すると水面にできる藍色の泡を「藍の華」と呼びます。「藍の華」が染色可能な合図になります。)、夏の 暑い時期が最適 の作業時期です。蒅の利点は、何時でも醗酵させて染色できる・染料の保存が楽・木綿にも濃く染色出来る 等が挙げられます。沈殿藍とは、藍の色素インディゴを沈殿させたものです。 収穫した藍を生の状態で蓋のついた容器に入れ水を加え、そのまま二日間程放置し発酵させます。葉が褐色になり表面に薄い膜が張っている状態になれば発酵が終了し、インディカンと酵素が水に溶け出 します。容器から藍を取り出し、石灰を加えphをアルカリ性に調整します。その後、青い泡が出るようになるまで撹拌します。この撹拌により酸化作用が起き、インディゴが生成されます。撹拌終了後、 二日間程で不溶性のインディゴ色素が沈殿します。上澄み液を捨て、泥状に沈殿したインディゴ色素は「泥藍」と呼び、これを乾燥させたものが「藍錠」と呼ぶ顔料になります。



い行

*黄蘗(きはだ)

山地に自生するミカン科の落葉高木です。「蘗」とは肌や皮の意味で、黄蘗の樹皮を「おうばく」と呼び、黄色や茶色系の黄緑色・鶯色 等に染色でき、黄蘗色(きはだいろ)とも呼ぶ鮮やかな黄色の染料です。 飛鳥時代から樹皮の煎汁を使用し、黄色を染めていました。「正倉院文書」 等の文献には、正倉院に残されている黄色い染紙の多くは「黄蘗で染められた」と記載され、平安時代の「延喜式」に「藍に黄蘗を染め重ね 「中緑(なかのみどり)・浅緑(あさきみどり)・青緑・青浅緑」などの色を染めたと記述