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植物染料の分類と成分
植物染料の分類は、「染色性による分類」と「染料の成分による分類」があります。藍・クチナシ・ウコンやキハダ等  媒染をせず1つの染料から1つの色が染色可能な「単色性染料」と、スオウや紫根の様に異なった媒染剤を用い複数の色に染色出来る「多色性染料」に分類します。単色性染料は、僅か で天然染料の多くは媒染を必要とする多色性染料です。また、植物の種類で染料として利用する部分が異なります。例えば、以下のように分類できます。
1)根を利用するもの(茜、紫根、ウコン等)
2)幹を利用するもの(梅、桜、一位、蘇芳等)
3)樹皮を利用するもの(ヤマモモ、キハダ、杉、檜等)
4)実を利用するもの(ザクロ、ドングリ、栗、臭木、クチナシ、クルミ等)
5)花を利用するもの(紅花、丁子、エンジュ、マリーゴールド等)
6)葉を利用するもの(藍、茶、アカメガシワ等)
7)植物全部を利用するもの(ヨモギ、背高粟立草、刈安、小鮒草等)
そして、天然染料は動物由来の染料(サボテンに寄生するエンジ虫から取れるコチニール・貝殻虫の一種のラッグダイ・貝紫 等)と植物由来の染料(藍・茜・紅花 等)に分類できます。
― 参 考 ―
染色技法の概略

3世紀以前

中国では、浸染法が発達する。(植物の抽出液+灰汁 など)

3世紀から4世紀頃

漢方として植物と浸染法が渡来する。

4世紀頃以降

模様の発達と主に染色の「描き絵・摺りこみ」等が発達する。そして三纈(糸で括る纐纈・蜜ろうで被覆う蝋纈・板に挟むキョウ纈)が生まれる

鎌倉時代

蜜蝋から大豆糊に変化し、型染に発展する。

15世紀前半まで

蝋纈が主流となる。辻が花 等

江戸時代

糊糸目・伏せ糊。 友禅 等

戦後

ろう染めが盛んになる。

*注
平安時代の律令施行細則「延喜式」巻十四「縫殿寮」(西暦927年)に、染め出される繊維の色彩名と染料として用いた植物(紅花・蘇芳・茜・黄檗・刈安・梔子・櫨・藍・紫草 等)が記載されています。)