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2)綾織 綾織は、3本以上の経糸、緯糸が上下になり、斜めの畝が出来る事から「斜紋織」とも言われます。平織りに比べると、経糸と緯糸の組織点が少なく、皺になり難い特徴があり、比較的光沢があります。 雲斎(うんさい)・杉綾・八端(はったん)、デニム、ギャバジン 等。雲斎は足袋の裏に使われている布です。杉綾はヘリンボーンとも呼ばれ、八端は丹前や座布団、風呂敷などに使われます。 3)繻子織 3本以上の経緯糸を一定の間隔を保って規則正しく組み合わせたものです。生地の表に経糸、または緯糸のどちらかが多く現れます。経糸と緯糸の交点である組織点が少ない織物で、光沢がある生地です。 反面摩擦に弱く、組織点の多い平織に比べると傷みやすい生地です。綸子・緞子(どんす)・サテン・ドスキン 等 また、綸子は織り上げてあげてから染める「後染め」、緞子は先染めの糸を使って地 模様を織りだします。サテンはツルツルとした生地で、ドスキンは毛織物です。 羅 綟り織(もじりおり)、または絡み織(からみおり)と呼ばれる薄物の絹織物です。経糸が隣り合う経糸と互いに搦み合い、網状の組織を作ります。製織に労力と熟練が必要な高級織物です。中宮寺の天寿国繍帳は、羅の地の上に刺繍を施しています。 纐纈 絞り染の一種で、糸で括(くく)り防染し、文様を白抜きにします。単純なものは目結文(めゆいもん)と呼びます。(布面を小さくつまんで糸で括り、染液に浸すと、括られた部分が防染され、鹿の子状の文様を表現します。)正倉院宝物には、纐纈 で縞状の文様を表した袍が存在しています。正倉院裂の纐纈には、複雑な文様を表したものはなく、裏地などの目立たない部分に用いられた例が多く、上代の三纈の中では平安時代以降も唯一引き継がれています。 臈纈 現代の「ろうけつ染」と同じ原理の蝋防染の染物です。各種の文様を表した版型に蝋を塗り、これを布面に押捺してから染液に浸し、蝋の付着した部分のみが防染されて文様となります。型は、木型のほか金属の型も用いられ、 大きな文様の場合は筆で蝋を置く場合もあったようです。正倉院の「象木臈纈屏風」「羊木臈纈屏風」などが典型的作例です。また、唐からの蜜蝋の輸入が無くなる平安時代には、この技法は衰退し、やがて全く行われなくなりました。 そして、近世の友禅染や型染では、防染のために使われたのは蝋ではなく米糊で、蝋による防染が再び行われるようになるのは明治以降です。 |