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*堺更紗 堺は、河内木綿の産地が近く、伊勢の型紙も入手し易く、硬質な更紗の生産が可能でした。京都更紗と堺更紗の明確な差はあまり無いのですが、堺更紗ならではの特徴は草花の描き方が京都に比べ写実的という点です。 また、地色に群青色を用い黄土・緑・赤茶などで配色する堺更紗に多く見られる特徴のひとつで、「霰」と呼ばれる点描を用いました。 *長崎更紗 特徴は、色です。蘇芳と明礬(みょうばん)を合わせた泥を使用する赤茶色を他の地域の更紗と比べ圧倒的な量で使用する事で、インド更紗(印度更紗)の赤に近づけようとしていました。その赤茶色は、布帛の外側に 縁取りしていました。そして、その内側に鳳凰や唐草で更に縁取りし、中央部に遠近法を利かせた風景画などが描かれました。また、唐子や龍などのモチーフがあり、中国とオランダとの交易から双方の絵画的技法が 導入されているようです。 *江戸更紗 室町から桃山時代に伝えられた更紗は、「型紙摺り」の手法で「江戸更紗」に生まれ変わります。江戸時代末期に型紙刷り技術に秀でた更紗師が、日本独自の美しい更紗を生み出しました。更紗の文様は草花・鳥獣・ 人物等を図案化したものが多く、エキゾチックな風合いに日本の風土と独特の美意識が加わりました。 *天草更紗 江戸時代末期の文政年間(1800年代初)に始まったと言われています。天草の紺屋(森伊右衛門・金子為作 等)が長崎で更紗の技法を学び天草で作られるようになったと伝えられています。明治初期には途絶え、大 正末期に中村初義よって復興しました。 *更紗の主な工程 ・型彫り 図案を作成し、図案を分解し、色彩と文様に合わせて型紙を彫ります。手すき和紙を何枚も重ね、渋柿で固めた地紙に小刀で全ての文様を彫り付けます。 ・更紗の下染め しぶき汁などを生地に引き染めし、更紗独特の深い渋み出します。 |