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― 友禅に関して ― 京都友禅は、柔らかい色調で多彩な色を使っています。加賀友禅は、多色使いで加賀五彩(臙脂・黄土・古代紫・草緑・藍)の有職模様や琳派模様 等の様式化された文様です。 そして糊置き防染の技法を用いず、直接白生地に絵筆にて絵柄を施す「描上友禅(かきあげゆうぜん)」という技法もあります。「描上友禅」は、防染処理を施さないので色滲み が避けられず、迅速な筆捌きを要求される高度な技法です。絵柄は、通常の友禅染めに比べ、簡潔で単純ながら大胆な構図があります。また、「型友禅」のような型置き防染は、 琉球王朝で生まれた紅型染が有名です。紅型染は、高度な型染め技術を用い、一つの型紙で黄色や赤・緑などの多色使いの鮮やかな文様を描く染織です。古くは、琉球固有の植物 や中国風の模様が主流でしたが、本土向けの輸出が進むにつれ友禅染の文様を取り入れた紅型が増え、友禅も紅型に使われる鮮やかな色彩を取り入れていきます。また、京小紋は 江戸小紋の技法に「型友禅」の技術を応用し、独特の趣向を打ち出して生まれました。簡素で粋な江戸小紋とは異なり、武士が好んだ細かな幾何学模様で、友禅模様を基本にした 色鮮やかで伸びやかな印象が持ち味となります。 *手描き友禅と型友禅の違いについて 友禅は、大きく二つに分けて手描き友禅と型友禅があります。糸目糊置と色挿しを特徴とする「手描き友禅」に対し、型を用いて模様を染めるのが「型友禅」です。 染料を付けた刷毛を摺り込んで染める友禅は、「摺込み友禅」と呼びます。型友禅は、色の数だけ型紙が必要となり、模様が繊細になればなるほど、型紙の枚数が増えます。 各友禅の特徴 *京友禅 京友禅は、元禄時代に活躍した宮崎友禅斎の影響を強く受ける「雅」な友禅です。色彩は、朱・緑・水浅葱・紅・薄青・桃色 等の明るく華やかな柄行、大柄が多く、御所車・花熨斗 (はなのし)などの古典柄や幾何模様などに刺繍や金箔などをあしらっています。糸目糊を使うことで色が混じり合う事なく、多彩な染め模様が出来ます。絹織物の白布に絵を描き染 め出し、鴨川の流れでさらす事で鮮やかな色彩を出していました。 |