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ー 鹿の子絞り ― 絞り染めの一種で、小鹿の背の斑点のように小さな絞りを規則的に並べています。その原型は、奈良時代に見られます。類似のものは、アジア各地に見られますが日本の鹿の子絞りは、種類・技法ともに優秀とされています。江戸時代には、振袖の全面に花鳥風月の模様を鹿の子絞りで表現した「総絞り」が贅沢品でした。現代でも本友禅と並び称されています。 ー 豊後絞り ― 豊後国(現在の大分県)で始められた絞り染めの技法の一つです。この地方は、室町時代後期に木綿の栽培が始まり、その木綿で作った布を「三浦木綿」と呼んでいます。江戸時代初期、三浦木綿を絞り染めの技法を用い、藍染めした絞り染めを「豊後絞り・三浦絞り」と呼びます。1645年に刊行された俳諧書「毛吹草」には、豊後国の産物としての「絞り木綿」という記述があります。また、1803年に完成した「豊後国志」には、高田郷門田村で絞り木綿が生産されている事が記述されています。そして、江戸時代初期に、名古屋城築城の天下普請として、府内藩主に従い尾張国を訪れた藩医「三浦玄忠の妻」が、有松・鳴海に豊後絞りの技法を伝えたそうです。 ー 紅 絹(もみ) ー 紅絹は、絹織物の一種で真赤に無地染めにした薄地の平絹です。また、花をもんで染めるので「もみ」と名が付けられたとも言われています。ウコンで下染めし、紅花で上染めして仕上げます。紅絹は、戦前まで女性の和服長着の胴裏に使われていました。 ー ろうけつ染め ー 模様部分を蝋で防染し、染色する伝統的な染色法です。新疆ウイグル自治区ホータン地区・ニヤ県の精絶国遺跡の東漢墓から蝋染の綿布が発見されています。よって、2世紀から3世紀にはろうけつ染めの技法があったようです。日本では、正倉院宝物に存在した事から天平時代の染色技法と考えられています。また、京友禅でも「蝋纈友禅」があり、世界各国にも同様の染色方法があります。インドネシア、マレーシアのバティック・モン族・プイ族も独自のろうけつ染めを行っています。染色方法としては、筆などで溶かした蝋を布に塗り、模様を描き、染料で布を染色し、蝋を落として水洗いし、蝋を塗った部分を白く染め抜きます。複数の染色には、この工程を繰り返します。また、蝋を乾燥・ひび割れを入れる事で独特の亀裂模様を作り出す技法もあります。 |