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ー シャム更紗 ー 技法は、インド更紗と同様で、手描きと木版押捺とがあります。文様は、仏・薩などの仏教的題材をモチーフにしたものが多く、色彩は藍色を多用するのが特色です。 ー その他 ー ロシア更紗・ジューイ更紗(フランス)・オランダ更紗があります。どの更紗も各国でインド更紗の技法とデザインを模倣し、木版から銅版を使用する技術改良を加 えながら発展しています。 ー 和更紗 ー 鍋島更紗が有名で、江戸時代後期から日本各地で更紗の模倣品が製作されるようになり、天草更紗・長崎更紗・堺更紗・京更紗・江戸更紗 等があります。文様の描き方は、 手描きや木版の他に、日本独特の技法である伊勢型紙を用いた型染めがあります。( 伊勢型紙とは、現在の三重県鈴鹿市の特産で、渋紙を何枚か重ね、彫刻刀で繊細な文様 を彫り、渋紙を布面に置き、刷毛で染料を塗り込んで染色します。)近世の日本では、アカネ染めの技法が未開発で、全体に色彩は地味で、文様も扇などの日本的風物を取 り入れた図柄でした。こうした和更紗は、男性の下着や・女性用の帯・和装小物・風呂敷・布団地 等に用いられ、素材はインド更紗と同様に木綿が主でした。しかし、大 正時代末期頃から更紗文様が絹製の帯 等に染色される様になりました。そして、更紗が着尺にも染色され、更紗の着物が第二次世界大戦に普及する様になりました。 *鍋島更紗 1598年(慶長3年)朝鮮出兵から帰国した鍋島直茂が朝鮮から連行してきた九山道清(くやまどうせい)によって始められた更紗で、染めに木版と型紙を使用します。 焼き物の鍋島焼と同様に佐賀藩が保護奨励していましたが、鍋島更紗は明治になって一時 途絶えます。1960年代になり復活しました。 *天草更紗 江戸時代末期の1800年代(文政年間)に創始され、一時途絶え昭和時代初期に復活しました。 |