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ー インド更紗 ー インドの染織は、2000年以上の歴史を持ち、エジプトのフスタートから13−14世紀のインド更紗が出土しているそうです。 現代に伝わるインド更紗は、16世紀以降に発達したと言われています。そして、インド国内向け製品以外にインドネシア・シャム (タイ) 等の各地に輸出され、インド国内向け製品とは異なり、輸出先の地元で好まれるデザインが採用されています。染料とし ては、茜の赤・コチニールの臙脂色・藍 等が使われています。コチニールは、サボテンに寄生するカイガラムシから得られる動物 性染料です。インド更紗の作風は主に、目の細かい木綿地にカラムという鉄製または竹製のペンのような道具を用い、手描きで繊細 な文様を表した更紗・やや目の荒い木綿地に主に木版またはテラコッタ版を押捺して文様を表した鬼更紗があります。(手描きと版 を併用した作品もある)。製作工程は、ミロバランという植物の実を煮沸して作った染汁で下染めした後に、カラムを用いて媒染剤 で図案を描きます。次に、アカネの染汁に浸し、媒染剤を塗布した部分のみを赤く染めます。 次に、藍で染めたい部分だけを残し、 布面に蝋を置きます。(蝋防染)この様に、藍染めを行う事で蝋を置いた部分は染まらず、蝋を置いていない部分のみが藍色になります。 鬼更紗は、アカネ染めのみで蝋防染の工程を省いたものが多く、文様は手描きでなく木版プリントを行います。 ー ジャワ更紗 ー インド更紗の影響が強く、技法としては蝋防染が主で、バティックの名で知られています。文様を描くには、チャンティンと呼ぶ銅製の小 壺に把手のついた道具を使用します。これに溶解した蝋を入れ、細い注ぎ口から少しずつ蝋を出し文様を描きます。その他に、チャップと 呼ばれる銅製の型を用いて蝋置きをします。色彩は、藍色と茶色が特徴的で、茶色はソガという植物から取られた染料を使用します。特徴 的な文様としては、葉・刀・蛇 等の連続文様で、ジャワ産以外でも蝋防染で文様を表した布(ロウケツ染め)を一般にバティックと呼ん でいます。 ー ペルシャ更紗 ー インド更紗と技法や文様が似ています。植物文様にチューリップ・バラ 等の洋花を多用します。 |