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置賜紬(おいたまつむぎ) |
3)紅花紬 紅花紬は、糸を紅花で染色した絹織物です。最上地方では、室町時代末期頃に栽培が始まりました。米沢藩では年貢の一部に、一定の米や漆・紅花・青苧・真綿などの特産品の買い上げ代金を充当する方法がとられ、紅花も藩の買い上げ制度がありました。紅花は、米の100倍・金の10倍になりました。しかし、明治になって化学染料の普及により衰退し、太平洋戦争の終了後には「幻の花」となりました。昭和20年代後半から紅花染が復興し、昭和39年に絹布に染めた紅花染を紬織に染め商品化に成功しました。現在では、箴園紅花紬(紅花・藍・胡桃・刈安などの植物染料使用)と、紅花手織紬の二種類が作られています 「染色法」 1)七・八分咲きで摘みとった紅花を素足で踏んで発酵させ、突き潰し乾燥し、固めて紅花餅を作ります。 2)麻袋に入れた紅花餅を「ぬるま湯」に二時間漬けて黄色の液を絞りだします。これを二回繰り返します。(この黄色液は、黄色の染液となります) 3)2)の紅花餅を、炭酸カリウムを溶かした「ぬるま湯」に漬け、紅色素を含んだ染液を絞りだします。 4)紅花から紅色と黄色を抽出します。 5)これに藍の染料を加えると「色の3原色」が出来ます。3原色を混ぜ様々な色を作り出します。 注:色の3原色 色材の三原色はY(黄色(Yellow))、M(赤紫(magenta))、C(青緑(cyan))を指します。色を混ぜ合わせるにつれて、色が暗くなる(光のエネルギーが減少する)混色を「減法混色」といいます。この3つの色を加えていくと黒になります。 注:紅花染め 「草木染め」は主に葉や樹皮などを使用しますが、紅花染めは、紅花の花を使用する珍しい染めです。紅花で染色された糸は、太陽光線で薄く柔らかいピンク色に発色しますが、気温や湿度などの条件でも色が変化します。また、紅花の染料は、紅の他に黄色やオレンジ色・ピンク色などに染める事ができ、媒染剤によってグレーや緑色などに変化さえる事ができ黒紅花とよばれる黒色も出すことができます。 紅花には黄色と赤の二種類の色素があり,染色はそれぞれの色素を使った二種類の色染めがあります。紅花染めは、草木染の中でも色の定着が難しく退色も激しいので思い通りの色合いに染めるのが非常に困難です。紅花からとれる染料のうち、99%が黄色で、わずか1%が赤色です。一反のきものを「紅」に染めるには90〜100万輪もの花が必要となる貴重な染料です。 1)黄染め 水溶性の色素を使用する為ため容易で,紅餅作りの時に生じる黄汁などから庶民の染め物としてよく利用されました。一方,紅染めは高貴な人しか着ることを許されない西陣織のような高価な着物にだけ使用されました。 2)紅染めは乱花(干紅花) 一般には紅餅を使用します。紅餅から紅の色素を抽出し布を染めます。簡易な黄染めと異なり紅染めにはいくつかのコツがあります。一つは黄汁を抜くことでこの黄汁を抜かないと鮮やかな紅になりません。よって紅餅をぬるま湯につけ、麻布などでよくしぼりしっかりと黄汁を抜きます。次に色素を染め液に溶かします。水では紅色素は溶けず、灰汁などを加えて液をアルカリ性にして溶かします。十分に色素が染め液にとかし、最後に酸性の液で中和します。江戸時代の製法では、クエン酸を多く含む梅酢などを使用しました。特に烏梅(うばい)という完熟した梅の実を燻蒸した黒い玉が最も良い媒染剤として用いられました。染め液に絹や木綿を入れ、紅を付着させ紅染めが出来ます。しかい、作業の温度やタイミングなどで出来が大きく変化する事から熟練の技術が必要です。 |