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秋 田

秋田八丈(秋田黄八丈・秋田絹)

八丈は、八丈島で作られる草木染の黄色地に格子模様が入った絹織物で「黄八丈」と知られています。秋田では、海岸に自生するハマナスを染料とする独自の八丈織が生まれました。八丈島の黄八丈と比較すると、光沢の度合いが少し低く、渋みがあるのが特徴です。秋田八丈の基調色は、鳶(とび)色と黄色・鳶色をハマナスの根皮・渋味の黄色をレンゲツツジの葉・明るい黄色をカリヤスの葉・黒地をハマナスにロッグウッドを混ぜ・赤地はスオウで染めだします。
秋田藩では、竜門織・秋田平などの絹織物が江戸時代後期に始まりました。その後、染色・機織の指導者として招いた蓼沼甚平が自生する「ハマナス」の根を染料として独特の鳶色に染め上げる技法を開発し評判となりました。そして、マナス・カリヤス・ヤマツツジなどの天然植物染料を用いた染織織物として発展します。明治になると秋田八丈の機業場は10を数え、年間6万反もの織物が織られるようになりました。当時の秋田市営の羽二重機業伝習所が民営化され、那波機業場となり、さらに滑川五郎さんが引きついで滑川機業場となりました。一時生産が少なくなりますが、昭和になり、恐慌が一段落して、活気が戻りました。


ぜんまい織

亀田の織物は、1717年に越後から亀田に招いた職工が木綿の亀田縞を織ったのが始まりです。一反織るのに2カ月掛かるそうで、織り手それぞれで織り方が異なる様で一反織る最初から最後まで一人の織り手が一定のリズムを保ちながら織るそうです。
ぜんまい織は、山間に自生するゼンマイを摘み、ぜんまい綿を採取して絹と混合して緯糸にして織り上げていますが、ゼンマイの綿毛が織り込まれた全国的に見ても珍しい紬織物です。「ぜんまい綿」は水をはじき、羊毛にも似たやわらかさと独特の自然色を持っています。ゼンマイの綿毛は防虫・防カビ効果があります。その後、ぜんまい綿、綿花、白鳥の羽根毛を混ぜて織った「ぜんまい白鳥織」という織物も作られましたが現在では生産されていません。

注:ゼンマイの綿毛
5月初旬、食用になる茎と織物に用いる冠毛とに分けられ、「雌」のぜんまいの冠毛(綿)を日陰で良く乾燥させます。乾燥させた冠毛を90度ぐらいで蒸し、乾燥させた後、真綿と混合し綿状にし、糸車を用いて手作業で綿より糸を紡ぎます。染色は、自然の植物を使って染め上げます。

注:水鳥の羽毛を使用(天鷺ぜんまい織)
天鷺村で使われているぜんまい織りの原料となる糸は天鷺村で紡がれています。経糸は絹を用い、緯糸には真綿の手紡ぎ糸を使用します。緯糸の真綿には、「ぜんまいの綿毛」や水鳥の羽毛が一緒に紡がれます。