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世屋藤布(せやふじぬの)


産地は、京都府宮津市近郊です。万葉時代から織られているという古代織物です。明治時代までは各地で織られていました。
現在は、京都府宮津市のほか、山形県の山村など数か所で織られているだけです。麻織物に似ていますが、麻より繊維が太く目が粗い、藤蔓の繊維を手機で織った素朴な布です。作業着、蒸し布、畳縁、袋物に用いられます。


丹後縮緬(たんごちりめん)


丹後地方の絹織物は、奈良時代に丹後の国鳥取で織られた絹織物が聖武天皇に献上(739年)され、現在でも正倉院御物として 所蔵されています。また、南北朝時代の成立とされる『庭訓往来』丹後で絹織物(丹後精好)が生産されていた事が記されています。江戸時代の享保5年、絹屋佐平治らが京都西陣より持ち帰った技術を基に創織した「縮緬」が、現在の「丹後 縮緬」の始まりとされ、峰山藩・宮津藩が縮緬織りを保護助長し、丹後の地場産業として定着させました。
縮緬は、シボがあることにより、シワがよりにくく、しなやかな風合いに優れ、凸凹の乱反射によって染め上がりの色合いが豊かな、しかも深みのある色を醸し出すことができます。縮緬の代表的存在である「丹後縮緬」は、このシボが最大の 特徴です。また、左撚り2本・右撚り2本を交互に織り込む事により、一越縮緬よりシボが高いのが特徴となります。

縮緬の種類
生糸を経糸に、強撚糸を緯糸に用いて平織し、そのあと精練してしぼを出した絹織物で、しぼ立ちの大小などにより名称が変化します。

・変わり無地縮緬(かわりむじちりめん)
縮みの欠点を、特殊な撚糸を工夫して織り上げています。縮みにくくシワになりにくいのが特徴です。
・一越(二越)縮緬(ひとこしちりめん)
古い歴史を持つちりめんで、シボが美しく、柔らかい風合いが楽しめます。
・古代縮緬(鬼しぼ縮緬)
左撚り2本、右撚り2本を交互に織り込むため、一越ちりめんよりシボが高いのが特徴です。古代の白生地に似ていることからこの名前が付けられ、シボが大きいことから鬼シボちりめんともいいます。色無地などに使用されます。
・縫い取り縮緬
ちりめんの生地に金糸・銀糸・ウルシ糸・ラメ糸などの装飾糸を使って模様を縫い取った贅沢な織り上がりになります。打掛や中振袖・訪問着など
・紋意匠縮緬(もんいしょうちりめん)
よこ糸を二重にして地紋の変化と深みを出しています。染め上がりに豊かな立体感があり、無地染めやぼかし染めに多く用いられています。