戻る | 次へ |
茨 城 |
結城紬(ゆうきつむぎ) |
茨城県・栃木県を主な生産の場とする絹織物です。結城紬は、細かい縞・絣を特色です。原型は、堅くて丈夫な織物でしたが、絣の精緻化に伴い糸が細くなり、現在は「軽くて柔らかい」と形容されることが多くなりました。 結城紬の原型は、「あしぎぬ」という太い生糸で織った絹粗布だと言われています。結城地方は、鬼怒川があり古代から農耕で開けていました。そして、桑の生育に適した事から養蚕が盛んでその副産物として織り物が織られるようにようです。茨城県と栃木県にまたがる鬼怒川沿いおよそ20kmの地域では、長幡部にはじまる日本最古の織物の技法を現在も守り伝えています。産地として、茨城県では結城市を中心に筑西市、下妻市、八千代町、栃木県では小山市を中心に下野市、二宮町の広範囲にわたります。現在でも大部分が農家の副業としています。 注:長幡部神社 社名にある「長幡」は、絹織物の一種・?(あしぎぬ)を指す言葉で、「長幡部」とはそれを織る人々をさします。文献上の長幡部氏には、皇別氏族と渡来系氏族がいたようです。『新撰姓氏録』逸文の阿智王条では、長幡部の祖は帰化した「七姓漢人」のうち皀(こう)姓で、末裔に佐波多村主(さはたのすぐり)がいると記されています。また『古事記』開化天皇段に、日子坐王(開化天皇第3皇子)の子・神大根王(かむおおねのきみ)が長幡部の祖とし、美濃の本巣国造と同族であると記されています。 真綿から手で糸を引き出し、長さの異なる百数十本の一つ一つの繊維が絡まり合うだけで、糸に撚(よ)りがない嵩高繊維(かさだかせんい)の代表です。よって、絹ですが木綿織風の素朴さが出る事が特徴です。その全工程は手作業です。糸紡(つむ)ぎ、絣括(くく)り、いざり機(はた)による機織りの3工程は、重要無形文化財に指定されています。整経と呼ばれる作業で糸を決められた長さと本数に揃え、経糸(たていと)を作ります。1枚の着物は、約30kmの糸を手で紡ぎ、600gもある大きな杼(ひ)で緯糸を3万回以上も打ち込みます。絣は1mmの誤差をも許さない極めて細かな作業となります。 「伝統工芸品としての特徴」 ・ 次の技術又は技法により製織された織物とすること。 (1) 先染め又は先練りの平織りとすること。 (2) 製織には「いざり機」を用いること。 ・かすり織物におけるかすり糸の染色法は、「手くくり」によること。 ・ 「しぼ取り」をする場合には、地糸に使用するよこ糸の「追ねん」及び「湯もみ」によること。 ・使用する糸は、真綿の手つむぎ糸とすること。 (精錬を繭の状態で行いますと真綿になります。中の蛹を取出し、拡げ方によって、角真綿、袋真綿、帽子型の真綿があり、面として大きく拡げれば真綿布団、糸状に延ばせば真綿紬糸になります。国産の真綿産地は、福島県保原町の袋真綿のみになりました。その20%が結城紬用、80%が真綿布団用です。本場の結城紬の糸は、保原の真綿を使い、「つくし」という道具に掛けて紡ぎだします。) 注:結城紬1反は、品質検査の規定で3丈7尺(約12.3 m)と決まっているため、それに余裕を持たせた約14 m程とする。本数は上糸640本、下糸640本、計1280本が必要であり(無地や縞柄の場合)、これは反物の幅約9寸5分に相当する。 |