戻る 次へ


名古屋友禅(なごやゆうぜん)

18世紀の前半、現在の名古屋市を中心にした地域では尾張文化が華やかで、京都等から各種の職人が行き来していました。友禅の技法もその時期に伝えられたと言われています。 今でも、江戸時代末期の染色品が保存され、染色関係の品としては、伊勢型紙の販売の記録が残されています。名古屋友禅の技法は、「手描友禅」と「型友禅」の二つの技法があ り、淡彩濃淡調の色遣い(一つの色の濃淡で柄を表す)で渋さが特徴です。
型友禅は、友禅模様を型彫りした型紙を下絵の代わりに用い、使う色ごとに型紙を用意して絵柄を付けていく友禅染です。その始まりは紺屋での旗や幟などにあると言われ、江 戸時代末期には、型友禅の産地基盤を確立しました。明治に入って、京都から新しい技術を導入するなど、生産が拡大してきました。
手描友禅は、享保年間(第七代尾張藩主徳川宗春)の遊芸華やかな時代に京都から絵師・友禅師などが往来した事で伝えられたと言われています。その後、質素倹約の気風が定 着し、花鳥風月が基本で色使いも単彩濃淡調の渋い友禅染と変化し、現在に受け継がれていきます。

ー 伝統工芸品としての特徴 −
・手描友禅にあっては、次の技術又は技法によること。
(1) 図柄は、友禅模様を基調とすること。
(2) 下絵は、青花等を用いて描くこと。
(3) 防染をする場合には、「糸目糊置き」又は「伏せ糊置き」によること。
(4) 「色挿し」、「足付け暈し」及び描き染めには、筆又ははけを用いること。

・型友禅にあっては、次の技術又は技法によること。
(1) 型紙は、柿渋を用いて手漉和紙をはり合せた地紙又はこれと同等の地紙に友禅模様を彫刻したものとすること。
(2) 「柄付け」は、手作業により柄合わせすること。

・生地は、絹織物とすること。