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日本の絵絣の多くは緯絣でつくられ、経緯ともに使う絵絣も緯絣が主です。
経絣は、「何寸間隔で括る」程度の計算で可能だそうです。定規などをあてがって墨付し、長く張り伸ばして括ります。
小千谷縮・紬は、当初は白地・無地で、延宝〜天和年代(1680年頃)に絣付け技術の原形が考案され、改良を加え緯糸を駆使し、自在に織り模様を表現する技 法を完成しました。その絣付け技術の用件は、基本図案を木羽定規又は板定規に転写して使用します。この技術が考案され確立した時期は不明ですが、「北越 機業史」には、「享保年間、越後小千谷の職工、カスリチヂミを織り出せり」と記載され、18世紀前半には定着しました。


注:木羽定規
木羽とは、材木の切り端のことです。桐材の木羽を、種糸と同じくらいの薄さに切り、これを反物の幅にそろえ、極薄のかまぼこ板のようなものにして、大量 に作ります。これを一束にして鉄枠または紐で固定します。その固定した一束の木羽の側面に、墨で絣にしたい図案を描きます。その後、木羽の束をばらして 番号を振り、側面に墨の痕のついた薄い木羽を定規にして糸にあて、番号順にその墨の痕どおりに糸に印をすると、絣糸の括りの位置になります。筬台絣の種 糸を木羽に置き換えたものです。
注:方眼紙
方眼紙に絣模様を描き、紙テープを貼り、墨で印をつけて種糸にするという方法です。また、絣模様を糸にあたり易い形状の方眼紙に転写し、直接糸にあてて 絣の墨付けをする方法もあります。織る糸の本数と出来上がりのサイズも出し、全体の生産数や工程の内容も割り出します。
群馬県伊勢崎市周辺で作られている伊勢崎絣の特徴は、「括り絣(くくりかすり)」、「板締め絣(いたじめかすり)」、「型紙捺染加工絣(かたがみおしぞ めかこうかすり)」という技法が用いられ、工程のほとんどを手作業で行うことです。