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 5)黄蘗(きはだ)
ミカン科のキハダの黄色い樹皮の煎汁で染めた明るい黄色で、奈良時代にもその名が見られる古い色名です。刈安より緑みを含んだ色です。 黄蘗の樹皮を「おうばく」といい、黄蘗で染めた紙を黄蘗紙とよび、経文や公文書用にも多く使われ、現在も保存されています。ただし、 布に単独で染められることはなく、緑系や赤系の染物の下染めにされていました。
「なめみつる 五の色のあぢはひも きはだのかみに がく成ぬる」
                    『古今著聞集』橘成季。建長六年(一二五四)。
 6)黄土色(おうどいろ)
顔料の「黄土」に似た赤みがかった黄色です。黄土は、帯黄の土を精製してできた顔料です。高塚古墳の壁画やアルタミラの洞窟画にも使わ れている色で、人類最古の顔料の一つです。また奈良時代の「正倉院文書」に壁色として記述があります。黄土色は、壁画の色や絵画の下染 料としても古くから愛用されていました。平安時代は、「黄支子(きくちなし)」と呼ばれ、延喜式や古今和歌集に記述があります。 厳密には、クチナシで染めた黄色に紅花の赤を少し重ね染めした色を「支子色」、クチナシのみで染めた色を「黄支子」と呼んで区別されました。