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「日本でのおおあさ(大麻)」 現在、産業用大麻(栃木県/市場流通品)と、神事用大麻(群馬県/岩島麻保存会)の2つが主な産地です。栃木県は、日本一の大麻生産地として、群馬県の 「岩島麻保存会(今上天皇のアラタエの素材)」は、昔からの「麻挽き技術」を継承しています。両県とも繊維用大麻の栽培法は同一ですが、栽培している品種が異なり、 栃木県では「トチギシロ」、岩島麻保存会では「日本の在来種」を栽培しています。(「トチギシロ」は、交配によって作られ、在来種の方がトチギシロより、根が約 60cm長い)また、栃木県は日本最大の大麻生産地で、機械を使用して作業しています。400年も前から麻糸の原料となる「結麻」をつくり続け、製品として流通し 始めたのは室町時代、麻布などの生産は江戸時代です。 岩島麻保存会で栽培する「在来種」は昔からこの地に受け継がれている品種で、忌部族により阿波から持ち込まれた「神麻」が上州の地で根付いた品種です。 そして、生育状況に応じて5種類に分類され、小さい順に別々に大麻を抜いていく昔ながらの方法で「麻こぎ」をしています。保存会では、伝統継承の免許で育成し、 畑の広さは0.5反の小規模の手作業だそうです。明治に入り、殖産興業という国ないし県の奨励策で富岡製糸場に象徴される「蚕(絹)」産業に切り替わりますが岩島 地区は高品質な麻を生産していました。しかし、戦後、化学繊維などの影響により激減します。岩島製麻は一般に出回ることはありませんが、毎年宮内庁や伊勢神宮に も奉納されています。岩島麻は、江戸時代「上州北麻」と呼ばれ、その製品名である「吾妻錦」「黄金の一」など最上級麻でした。岩島麻は、戦前においては織物用 として新潟・富山・奈良方面に、漁網用に三重・千葉・静岡・宮城・島根県などに売り出されました。最高級の麻は高級服地(上布・晒・縮など)・一本釣り用糸・ 弓弦用に用いられました。現在は、「技術保存のための畑」で栽培し、宮内庁・神社庁・日本民族工芸技術保存協会などに納められています。 注:大嘗祭の大麻(おおあさ) 大麻は、神事に欠かすことのできない神聖な植物です。古代、天太玉命(あめの ふとだまのみこと)天日鷲命(あめのひわしのみこと)より受け伝えられた 日本の国とってとても重要なものです。天日鷲命(あめのひわしのみこと)は、天磐船(あめのいわふね)に乗って種穂山に降臨したと伝えられています。 |