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また、生産された布は柔らかく亜麻に良く似ています。古くは、収穫後の繊維を採取する精錬は 亜麻と同様の醗酵法を使用していました。現在では、苧麻の精錬と同様に科学精錬を用い、衣類に適した細番手用の原材料開発が可能になりました。しかし、現 在でも麻番手60番以上の細番手は完成されておらず、伝統的に手工芸で生産された細番手には及んでいません。
工芸的な繊維採取の方法は、茎幹を水に浸し、発酵(浸漬)の後、剥取(手紡ぎ)、破茎、打綿、切断、櫛梳、紡績(機械紡績)を経て糸になります。 しかし、繊維は細く、短く、しかも表面が平滑で撚りをかけづらく、亜麻や苧麻に比べ紡績性に劣ります。苧麻とともに衣料用として広く使われましたが、現在 では資材向けに活用されています。また、生産が僅少で高価なことから高級下駄緒の芯縄、神事慶事用及び凧揚げ用の特殊糸等として使用されています。


おおあさ(大麻)の特徴
長所
ラミーやリネンよりシャリ感があり、肌触りが涼しい
繊維構造が中空のため、吸湿、吸汗性がある。
引張り強度で綿の8倍、耐久性で4倍の強度を持つ。
通気性に優れている。
短所
太い・短いというバラツキが多い繊維で、紡績して糸にするのが難しい。
粗硬な素材なので、糸ネップやスラブが生じやすい。


日本に伝わる「麻の葉文様」
麻の葉文様(あさのはもんよう)は、麻の葉をあしらった図柄で日本の伝統的な文様です。基本的な形は正六角形で幾何学的な形です。平安時代には、仏教の尊像 の衣服の図柄に使われ次第に普及し、17世紀から世紀の浮世絵に描かれるようになり、江戸時代の初期には麻柄が広まり、着物の図柄・家紋や神紋・伝統工芸とし て様々な場面で図柄として使われています。