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(4)宮古上布 宮古上布は、宮古島で栽培した苧麻を手績みして糸を作り、手括りや締機で絣糸とし、琉球藍と蓼藍を混ぜた液で染めた後、高機で織り上げています。 現在は、重要無形文化財の指定を受けています。 宮古上布には白絣もありますが、南国の自然をモチーフとした織り柄と黒に近い濃藍とが大きな特徴で、深い藍の色合いは、織りあがった布地を水洗い して澱粉をまぶし、木槌で一万回も叩きつづける「きぬた打ち」や、染めて乾燥する作業を一週間ほど何度も繰り返す丹念な布染めによって生まれます。 *注 宮古上布における糸の作り方 (伝統的工芸品づくりの材料・道具ネットワーク・データベース より抜粋) 宮古上布に使用する糸は、経糸(たていと)・緯糸(よこいと)ともに手で作ります。 「糸の積みかた」 まず生苧を、繊維の根の方から指や爪を使って細く裂きます。この場合、経糸用は髪の毛ほどに極細く裂き、緯糸用は、それより太めに裂き容器(方言 「マグ」)にためていきます。マグに適量たまると結び目を作らずに指で撚り繋いでいきます。その際に繊維に水分を与えます。宮古のおばあさん達は 口に含んで唾で水分を与えています。この繋がれた糸を方言で「ンミュー」と呼びます。「ンミュー」は人によっては球状に巻く場合があります。この 球状に巻かれた糸は「ピスゥ」と呼ばれます。好みによって生苧を裂きながらすぐンミューにしていく人もいるようです。経糸(諸手)は2本どり、緯 糸(単糸)は1本どりで、手で撚っていきます。それぞれ専門化されていて、経糸も緯糸も作るということはありません。経糸の方が値段は1割から2 割ほど高くなっています。経糸は平良市、下地町、上野村、伊良部町など、緯糸は城辺町が主産地です。 「撚りのかけかた」 紡いだ糸が10ヨミ(1ヨミ=約600メートル)くらいになると撚りかけをします。撚りをかけると糸のけばだちがなくなり丈夫になります。撚りが甘いと 糸が弱く織りにくくなります。また、強いと打ち込みにくくなり絣あわせが難しくなります。撚りかけは、糸車(ヤマ)を使います。経糸は2本撚り、 緯糸は1本撚りです。撚りかけをしながら、糸車のツミ(針状のもの)にさしてある小管に糸を巻いていきます。撚りの回数は経糸8回、緯糸7回が標準 です。 「かせの作り方」(整経) その後、糸を販売用の長さに整えるために、手経木(ティーカシギー)という機具を使ってかしかけ(綛かけ)をおこないます。手経木の一巻きが約1.65 メートルの長さで、4回半(ヨソウハン)かけて1本(5ヒロ=約7.5メートル)とします。80本合わせて一算(ヒトヨミ)と数えます。往復がため、始ま りのところを数える場合40本分になります。10算から12算をまとめて売られていますが、一反分の50算を一人で作るには3カ月以上の月日がかかります。 |