戻る 次へ


亜麻繊維のできるまで

亜麻の茎から繊維を採り出すには、表皮と柔軟組織を取り除く必要が有ります。この部分を取り除くには、バクテリアを使用し分解します。その方法は、醗酵精錬と呼びます。
1)冷水浸漬法(レイスイシンシホウ)  昔から行っている方法で「水」に浸す。
2)雨露浸漬法(ウロシンシホウ)   圃場(ホジョウ)でカビの力を借りて分解する。
取り出した繊維量は、元の乾燥状態の茎の15%前後となります。
また、亜麻の原材料は、「正線」と「粗線」に分類されます。「正線」は、さらに「長線」と「短線」に分類されます。「長線」は、潤紡により細番手から太番手の糸となります。「長線と短線」は、短線紡績(ギル紡)により太番手の糸もしくは混紡用の原料となります。
亜麻の番手表示は、麻番手を使用します。その定義は「1ポンド(453g)で300ヤード(274m)の長さの糸を1番手」となります。主な生産番手は「4・8・10・14・16・20・25・30・40・50・60・80・100」ですが、昔の生産方法で作られる「晒の糸」においては 「33・44・66」等の端番手が存在します。 端番手は、生成り糸を晒し、晒し糸としていたので40-44の細番手になります。しかし、近年では原料段階で「晒し加工」が可能になり、生成り番手と同じ番手が多くなっています。潤紡(湿式紡)で生産された糸は、表面をペクチン質で糊付けされた状態で綺麗ですが「精錬・晒し・染織 等」の工程でペクチンが破損され、表面が荒れる事で「ワタボコリ」も多くなり糸が痩せて行きます。

注1
潤紡は、お湯を通した後に撚り乾燥させるやり方で、中番手以上の中細から細糸を撚る時に行われました。
乾紡は、潤紡のようにお湯を通さずに撚る方法で、太目の糸に適用されました。


亜麻紡績糸のまとめ
亜麻の原料は下記の様に分類され、糸に加工されます。
A:正線  ―> 長線(一亜) -> 長繊紡績(潤紡)―> 短線(二亜)
      ↓
B:租繊 ――――――――――――>短繊紡績(ギル紡)

特に太いものを除けば、殆どが潤紡での生産となります。