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「絹通信#31」より |
25年度の竹筬研究会の事業が始まりました。研修日は、第一と第三の土曜日午後一時より、場所は岐阜県瑞穂市の研修所です。入会及び研修見学は歓迎致します。事前連絡の上、研修所にお出かけください。 さて、昨年度は原材料の竹材に悩まされた一年でした。以前の九州の竹は、寸法と質的にほぼ全滅し、京都の竹も期待はずれでした。唯一、地元岐阜県の竹職人さんが切り出し納入して頂いた竹材に少し光が見えつつあります。 その丸青竹は、粗挽きの一歩手前まで「山口県より購入した二台の機械」で処理するとほぼクリアー出来そうです。但しこの機械化は、微妙な調整が必要になります。そして、竹材をどの様に乾燥するかを含め、筬羽にとり一番良い方法を検証し事件して行く事が課題となります。また、会員の竹筬羽検査を行って頂ける特別会員・豊田 義雄氏の基準1/100mmの精度は、残念ながら昨年は殆ど合格が頂けませんでした。結果として試作竹筬の本数も少なく、合わせて竹材の質も悪く、結果が出せませんでした。然し、「豊田 義雄氏の基準2/100mmの精度」に戻すのではなく、「1/100mm」の精度を目指して参ります。そして、文化庁から要望されている宮古・越後 等の織物産地の職人さんのご代ぷ棒にも耐えうる制度を目標に、竹材の吟味と技術の研修に努力を重ねたいと思います。 (2012.04.19 下村 輝) |
「絹通信#30」より |
2013年2月8日、岐阜県の竹切り職人・岡さんに1月に切っていただいた長尺の丸竹が入荷しました。岡さんを含めた会員有志で節を落とした竹筒にする作業において、去年購入した押し切りタイプの電動丸ノコが威力を発揮しました。私は、12月に届いていた山口県の竹加工機械メーカーの電動の幅割り機と一定の幅取りと厚み剥ぎが一度にできる機械の調整運転を初めて行いました。半割りした丸竹を幅割り機で8mmに割り、次にその8mm幅の竹を幅取り6.5cm、厚さ約1.2mmに剥ぎ取る作業でした。初めてにしては十分すぎる結果を得ました。まだ調整や機械的に工夫をして改良すべき点はありますが、竹材として十分精度の高い原材料が自分達の手で作り出せる手応えを感じました。 今まで竹材店が加入し入荷していた竹材が、自分達で加工しなくてはいけないことになり、新たな作業が増えました。然しながら、その作業は原材料から吟味し選別して加工して使用できる利点を持ち合わせていました。これは、増加した作業以上に竹筬にとって良い結果に繋がる事になりました。2月16日の研修日に、昨年依頼していた京都府の竹材2500本が入荷しました。検品の結果、3割に幅不足や割れが有りました。信じられない結果で、これで竹材店よりの竹ベラはほぼ全滅となってしまいました。竹林に人手が入らず、竹切り職人さん、加工職人さん、竹材店の連携が十分に取れておらず、規定の寸法品が納まらない竹材の現状に失望致しました。原料が良くなくては良い製品は出来ないとの思いがあります。竹材店には頼らず、切り出し職人さんとの連携を大切にし、勉強させて頂き、将来的には自分達で「良い竹材を選別できる目・切り出せる能力」を身につけないといけない時代を考慮し、今後はやっていこうと思います。 今年度は、良い竹材を選び、技術の精度を上げる事だと思います。私の仕事は、「竹材加工の機械化」と「次の工程の精度を必要とする荒引き以後の機械の復活(義雄さんが製図を書き製作され機械化さました。)」千四の竹筬羽の機械をされた精度の高い「筬引き機械」を目指したいと思います。まず山口の2台の機械を使い精度の高い幅6.5cm、厚さ1.1mmの原材料の竹ベラ作りから始めたいと思います。 (2012.02.21 下村輝 記) |
「絹通信#29」より |
現在、ご教授頂いている旧日本竹筬工業の竹筬作羽作りの加工手順は、竹材店で幅16mm、厚み28mmの竹ベラを訳4種類の規定の長さに切りそろえ、500本を一束として送られてきます。それを簾状に竹編みし、「天日乾燥ー>二つ割りで8mm幅ー>粗挽きで約1mm強の厚みー>幅取りで約6.5mm幅ー>二番引きー>皮取りー>上引きー>羽揃えー>羽切り」と進みます。ここまでが行程Ⅰで、行程Ⅱが竹筬羽の仕上げ加工、行程Ⅲが竹筬が組み上げ加工で竹筬が完成します。 その工程Ⅰの前段階である「良質な竹筬」と「竹材加工」が困難になりました。日本の竹加工や竹工芸が衰退した結果、「竹林が荒れ・竹切り職人 等の後継者問題」などの多くの課題を発生させました。幸運にも地元の岐阜県で「竹切り専門の職人」に出会う事が出来ました。昨年より、この職人にお願いしています。従いまして、切り出された節間が5~6ヶ所ある長い丸竹の竹ベラまでの加工は研究会が行はなくてはならない状況になりました。そこで山後地検萩市の竹加工機械メーカーに発注し、先週3度目の萩市訪問となりました。竹切り職人から送られてきた長い丸竹を電動丸ノコで節を落とした円筒の竹筒にします。その竹筒を二つ割りして加工機械に掛けます。既定の幅に小口から機械で割って行きます。これは、クランクにより刃が落ちる構造の幅割り機械です。以前は、16mm幅の竹ベラを二つ割にし8mm幅にしていましたが、この機械では最初から8mm幅で割れ、二つ割りの手作業が機械化出来ました。次の「荒引きー>幅取り」行程は2代目の機械です。厚みを28mmに竹を剥ぐ事と幅取り約6.5mmは正確に取れ、剥ぐ厚みも試験では約1.5mmの厚みまでほぼ正確に剥ぎ取れていました。よって、この機械は調整次第で粗挽き工程を省略でき、いきなり一番重要な二番引きに入る事が可能性を持っています。青竹をこの2台の機械で加工した場合には、「竹編みし、約1ヵ月間天日乾燥していた行程」とその時間が短縮可能となります。作業が楽になり、作業場所も広くは要らなくなります。また、原材料で「湯炊きし、油抜きしていた行程」も、この薄い竹ベラで処理を行うと大変省力化可能となります。機械の設置は、来年1月に入ってからですが、おおいにきたいを寄せております。 (2012.12.20 下村 輝) |