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「絹通信#15」より 横浜シルク博物館の公募展・第21回全国染織作品展が10月9日?11月14日まで開催され、入選作品約70点が展示されます。その期間中の10月19日?24日までの6日間、竹筬研究会の第4回試作竹筬と織布展も同館で同時開催されます。 今回も試作竹筬による作家さん及び会員の織布展示、会員製作の竹筬、外国を含む様々な竹筬、会員による製作技術の実演と解説、竹筬修理と組替えを含めた特別会員・大橋滋さんによる竹筬の診断と、竹筬研究会8年間の成果と現状・未来をご覧いただきたいと思います。 詳しいDM等をご希望の方は下村へお問い合わせいただきたいと思います。 ●下村連絡先 http://takeosa.blog.shinobi.jp/Category/16/ ●第4回試作竹筬と織布展 http://takeosa.blog.shinobi.jp/Entry/90/ (2010.08.20 下村輝 記) 「絹通信#14」より 2010年10月19日?24日の横浜・シルク博物館での第4回「竹筬と織布展」、そして11月18日?20日の竹筬羽の故郷であり、研修場所である岐阜県穂積町(現・瑞穂市)での2回目の第5回「竹筬と織布展」も決定、両作品展に向けて新たに試織をお願いする約10点の竹筬作りを始めております。正会員の森田英史さん、森武さん、西尾一三さんにより筬羽引きされた竹筬羽は特別会員の元職人さん豊田義雄さんの検査を受け合格した筬羽を小嶋孝幸さんの仕上げ工程を経て、筬組みのプロ、大橋滋さん、小嶋孝幸さんの編筬機による機械組みにより試織用竹筬を製作、そして「製作・普及部」の竹筬として、まだ試織を兼ねてではありますが、お分けしていける入口に立ちつつあります。千四の竹筬羽を引いておられた義雄さんの検査は、以前の千○までの基準と較べきびしく、毎回合格をいただけるには、すべての面で一層の努力と改良が必要で、現在研究会はクリアーすべき大きな壁につきあたっております。整備不十分な竹林からの決して良くはなっていない竹材、正直台、銑、金板の全面改良、そして技術の積み重ねによる技術の向上の3点がクリアーできた時、プロの織産地にもたえる竹筬が復活できたとの思いで、義雄さん基準を目標に0からの出発のつもりで日々の研修を積んでいき、シルク博物館での竹筬展へ進んでいきます。 (2010.06.22 下村輝 記) 「絹通信#12」より 昨年3月、日本で唯一の竹筬羽の生産地で、竹筬研究会の研修場所である岐阜県穂積町(現・瑞穂市)での第1回「試作竹筬による織布展」より約1年、昨年9月には沖縄で2回目、そして今回の2月、東京・八王子市での3回目の竹筬と織布展、研究会の活動は一歩ずつ前進し、竹筬復活に近づきつつあると実感しております。昨年3月、当研究会の実技の講師、旧・日本竹筬工業で唯一の筬羽引きの職人さん、豊田陸雄さんが亡くなられ、筬羽引きを直接指導していただけることは出来なくなりました。しかし、約6年間の指導の結果、数人の会員が不十分ながら技術を引き継ぎ、次の世代に引き渡す事が可能になり、研修を実施しております。沖縄展までの試作竹筬の精度が充分かと申しますと、約20枚の試織結果は、3枚の筬羽割れが生じ、試織していただいた方にご迷惑をおかけいたしました。その後の試作竹筬は同じ日本竹筬工業で1400と精度の高い竹筬羽をご自分で設計された筬羽引きの機械で製作されていた唯一の職人さん、豊田義雄さん。現在94歳ながらお元気で、会員が製作した羽切り前の竹筬の検査を義雄さんの精度と厳しいチェックと助言をいただき合格した筬羽のみ、試作竹筬や将来に向けて譲ることを前提の「製作・普及部」製の竹筬として製作、それまでの試作竹筬とは一段レベルアップした安心してご使用いただける竹筬に近づきつつあります。そして次なるステップの第一歩として、絣の精度を要求される久留米絣に挑戦し竹筬を納品し、試織をお願いしております。そして今後は小千谷縮・越後上布用の竹筬に挑戦、さらに芭蕉布・宮古上布・大島紬用の竹筬へと順次挑戦し、試織をお願いし、5反10反と問題が生じなければ、形だけの竹筬ではない使用に充分たえる竹筬が復活したといえ、現在試織をお願いしている方、そして賛助会員として以前より応援していただいている方、そして竹筬をご希望になっておられる方々へと竹筬研究会の「製作・普及部」製の竹筬として譲っていければと考えております。 筬組みは瑞穂市の研修所に日本竹筬工業の豊田亨さんの機械組み用の編整機が設置でき、日本竹筬工業のもう一人の機械組み職人さん、大橋滋さんの指導で若い金筬職人の小嶋孝幸さんにその技術を伝授していただいており、その完成度は格段に進歩しています。あとはこの機械組みにたえうる精度の高い竹筬羽をいかに多く製作できるか、それが譲れる竹筬の第一歩目と考えております。東京展が終わりましたら、豊田義雄さんが実行された筬羽引きの機械化に再挑戦し、筬羽の機械化を是非実現するために活動したいと思います。 (2010.02.21 下村輝 記) 「絹通信#11」より 11月、3泊4日で大分と福岡へ会員4名で行きました。会員の西尾一三さんが挑戦されている、鯨寸間39羽と筬密度は粗い竹筬なのですが、その絣技術の精密度から竹筬の精度も要求される重要無形文化財久留米絣技術保持者会の松枝哲哉さんへの再度の竹筬納品と角浦節子さんによる種糸台用竹筬の納品。大分の竹工芸支援センターでは筬羽引きの機械引き化のための参考機械と情報の収集。福岡の竹材店へは竹材の割れに関する問題の解決。そして久留米絣技術保持者会の皆様方と市役所の会議室での竹筬情報、実技、問題点、現状、後継者などを映像を含めて意見交流会を持ちました。松枝さんには以前から試作竹筬で織布試織をしていただいて、問題点も指摘いただき、より完成度の高い竹筬を目指して努力された西尾さんの竹筬を納めました。今までの試作竹筬で試織していただいた竹筬で、筬羽の割れが生じた竹筬が3点、その原因も特別会員の元・職人、豊田義雄さんの指摘で解明できており、今後の竹筬は筬羽段階での義雄さんの厳しい検査で合格した筬羽を使用しての試作筬や「製作・普及部」の竹筬ですので、以前の試作竹筬の精度とは一段と違った、譲ることも可能な品質にも自身が持てつつある第一歩目の竹筬です。西尾さん、森田英史さんの筬羽はもう少しで義雄さんの検査を受けなくても自己検査でというレベルに近付きつつあり、角浦さんの新加入の方への研修で、次の人たちも育ちつつあります。研究会では、現在、西尾さんと森田さんに久留米絣と同様、高い精度を求められ、筬密度の高い越後上布、小千谷縮、宮古上布、そして旧・日本竹筬工業でも一番神経を使い製作されていた15.5ヨミの大島紬用の竹筬へと挑戦していき結果を出していきたいと思います。併せて「製作・普及部」の竹筬も譲れる体制へと進めていきたいと思います。岐阜の研修作業所には豊田亨さんより譲り受けました竹筬機械組み機である編整機が設置され、特別会員の大橋滋さん指導で小嶋さん主体に可動に向けて調整しています。竹筬の現在・現状・未来を知っていただく上で2月26日からの東京展、是非ご覧いただきたいと思います。 (2009.12.18 下村輝 記) |