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「絹通信#61」より |
岡山県の山手、中国山地に選定保存技術「木炭製造」の伝統工芸木炭生産技術保存会の現場があり、保存会の原材料である日本油桐の植林と合わせて 竹林整備もでき
ないのかとのお話しがあり、4月末に現地調査、ご案内いただいた3カ所のうち、今回は川竹も1カ所、試験切りして調査いたします。全国の竹林の荒廃が進む中、今回の現場も同様で、整備し良質の竹材を入手す
るには時間と人手がかかり大変な作 業と思います。資料竹材の試験を経て岡山の竹材の結果を出したいと思います。翌日は土佐市の手漉和紙用の簀や簀桁製作の山本忠義さんを訪ね、竹ヒゴ、絹の編糸、銅釘等で意見交換、竹ヒゴ
では我々と同様、別府へ調査、絹の編糸は簀編みの途中 で糸切れして困ることを話され、その原因を尋ねられ、お返事申し上げました。一番お困りの製造中止の銅釘は資料釘をお預かりして、打出し用の金型を作ってくれる職人さ
んを探すことになりました。 我々の竹材と同様、手漉和紙の用具の各部 品の入手が困難になり、製作現場の職人さんは本当に困っておられることを実感し、この状況が続くと廃業になります。機械漉和紙の世界もあると思いますが、手漉和紙の世界では代替
用品の提供が万一できない場合、大変なことになります。そのた めに昭和51年手漉和紙用具製作が選定保存技術に選定、全国手漉和紙用具製作技術保存会が認定され活動されておられますが、現場の山本さんたちと保存会の交流が
十分でないと思いました。山本さんがJOC編集のDVDで銅釘を探しておられましたが、 今までの職人間の部品製造の流通では入手は不可能と思います。編糸も岐阜の方が唯一とお聞きしており、その技術の伝承は私が保存会より依頼
された折のことを考慮しての結論は次は0です。竹筬、私のねん糸等の業界の分業間の職人間の部分や部 品製造の経済やしがらみの流通革命ができない限り、各部門の職人さんの仕事の継続と次の後継者育成は夢になります。
先日、山本さんに銅釘の金型の若い職人の可能性を連絡したところ、今年で廃業のお返事。高知の簀桁職人は0になります。 山本忠義さん89歳、出会いが遅すぎました。その技術、道具類、部品、受け継ぐ方がなければすべてごみ
になります。4月はご年齢を感じず前向きでした。残念であり次に生じる事柄が心配です。 2018.06.22 下村輝 |
「絹通信#60」より |
29年度の国宝重要文化財等保存整備補助金の実績報告書を4月初めに提出、4月9日付で補助金額980万の確定通知書が京都府から届き、29年度の事業は終了、総会での承
認を経て、30年度の事業が始まります。実績報告書と同時に30年度の事業計画書も提出、内定決定の通知を経て実務が始まり、1000万円強の事業になると思います。
昨年7月に国の文化審議会で文部科学相へ、人間国宝を初めとして、「竹筬製作」が選定保存技術に認定され、竹筬研究会が保存団体の認定を受けたことが新聞に発表されました。 昨年10月には東京のホテルで重要無形文化財保持者(人間国宝)及び選定保存技術者等の認定書とその他の懇親会に小島・小倉・下村が参加、交流を深められました。 選定保存技術の選定と保存団体の認定と合わせて、補助金の増額も 要望、380万円の増額も承認して頂き、補助金総額は今までの600万円+380万円=980万円という大きな金額で、竹筬研究会の補助金対象の総事業費は昨年から1000万円を超える大きな事業で、国の当研究会に対する期待であり、 竹筬製作と提供で応えていける研究会であり、技術伝承と後継者育成を進めていきたいと思います。 今年度は文化庁が認定された芭蕉布・宮古上布・久米島紬・久米島絣・小地谷縮・結城紬や染織の重要無形文化財保持者の皆様と竹筬都の接点を持って頂き。貢献していきたいと思います。 *竹筬研究会の研修日は原則月2回(第1土曜日と第3土曜日)13時~17時まで、岐阜県瑞穂市生津外宮前町1の120 (JR瑞穂駅 徒歩15分)で実施、見学と体験大歓迎です。昼食後、毎回10人強の会員がそれぞれの研修を 行っています。 4月20日記 下村 輝 |