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「絹通信#59」より |
29年度から進めていました庶務および会計の役割分担を関さんから、若者の小倉さんに段階的に移行し、1月の名古屋での第14回竹筬展は新たな考えのもと、小倉さんが中心となって連日運営し開催できました。
また10月2日付で、当初より要望していました「竹筬製作」の選定保存技術の選定とその保存団体の認定と補助金の増額も承認され、補助金総額980万という大きな数字は若者の役割に対する支払金額の増額に対処でき、会の技術伝承と運営の後継者として育成する具体的な数字で、その趣旨にそって、10月以降は運営しており、将来的には営業面での運営も重要な課題です。その第一歩目は各染織産地や織元、染織家の皆様を訪問し、筬状況と使用糸の種類、特徴、太さなどを把握して、竹筬製作と会の運営に生かしていく事が大事です。
日本竹筬工業の時代に各染織産地の竹筬屋さん(竹筬を組む人)に竹筬羽を、供給することが仕事で、各染織産地の織物や糸の特徴、太さなどは産地の筬屋さんが把握して竹筬製作をされていましたが、15年前の廃業で竹筬の供給が停止し、この竹筬製作の販売のシステムも消滅いたしました。竹筬研究会では、今まで各染織産地や染色家の方に試作竹筬という形で試験という意味を含めて竹筬提供をしておりますが、認定後はより一層、織元さんや染織家の方の直接のご意見や状況を把握して、織られている織物に一番適した竹筬を製作できる新しいシステムを作りたいと思います。 昨年10月には喜如嘉の芭蕉布と世田谷の民家園、2月には丹波布、月末には九州の小倉織・博多織・久留米絣を調査訪問、3月は奄美大島紬の組合と織元訪問が決まっていますし、3月中旬には沖縄も計画しております。30年度の4月からも、染織産地や織元さんを訪問し、織物や糸の勉強をさせていただくことは竹筬の設計と製作上、重要で大切なことだと思います。 (2018 .2.21 下村 輝 ) |
「絹通信#58」より |
29年7月に「竹筬製作」が選定保存技術に選定され、竹筬研究会がその保存団体の認定を受けました。9月には国宝重要文化財等保存整備費補助金が380万円増額され、総額は980万円になりました。今まで会員のボランティアや持ち出し分を計算して折衝した結果、決定いただいたもので、具体的には事務費、年間約70万円、研修会場の使用料や材料、道具機械額の保管施設費130万円、人のために竹筬羽を引く会員の自宅研修費3人で約100万円弱、今までは各染織生産地の筬屋さんが担当していた部門がここ15年で0。今後は当会員が各産地の糸使いや筬の現況を知って竹筬製作するための各産地の調査費50万円、竹筬復活と頒布のためのより一層の試作竹筬製作に約50万円プラスで合計380万円の増額です。 980万円は大きな仕事ができる金額ではありますが、逆の心配も大きなものになります。補助980万円はその仕組み上、その年度が終わった(3月末)翌月の4月に入金されます。年度始め(4月)から年度末(翌年3月)の1年間の支払いや運営費は会が立て替えての支払い、980万円の資金をどう手当てするかは大きな問題で、銀行にも相談し、以前は内定通知書が担保で借入れも可能でしたが現在は無理、担保と保証人で借入れは可能でしょうが、誰がの問題と利払いが生じます。月払いや半年の元金均等割賦償還は月々の収入のない現状の会では不可能です。年度が終わり4月に入金があり、それで一括償還できても、同月に新年度の事業が始まり、資金が必要で、また借入れが必要になり、会の自己資金を確保しない限り、利払いがずっと続く事になります。980万円を月2%で計算して、年19万円の利息、年会費5千円38人分になりますし、元金の支払い延滞利子は10%以上で、どれも運営上、会にとって厳しく大きな数字です。 そんな補助金の矛盾を抱えながら14年間やってきましたが、増額決定の9月からは徐々にではありますが、誰でも運営ができる会、とくに小嶋さんや小倉さんが運営していける体制作りに力を入れております。今までのボランティアや持ち出し分を会の仕事として対価を払い、その中から各自が会の出資金的な資金を蓄積できれば理想ですし、将来的には会自身の営業活動で資金蓄積ができれば、より会の力も付きますが、営業活動は赤字の営業リスクも生じますので、会の今後の大きな課題です。竹筬を製作する事は基本で一番大事な事ですが、それを製作する会をどのような方向で研修し、後継者を育成し、頒布に繋げるか、会の運営が重要になりますし、今回の増額はその部門を充実し、竹筬復活と染織産地への竹筬での貢献を期待されての決定と思っています。 (2017.12.22 下村 輝 ) |