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「絹通信#54」より |
29年度の文化財保存技術保存事業の国宝重要文化財等保存整備費補助金600万円の内定があり、5月の総会を経て今年度の事業を進めていきます。昨年の8月より、選定保存技術の保持団体の指定と若い後継者のための事業の継続と体制作りに必要な補助金の増額を要請し、3月には伝統文化課の担当の方に岐阜に来ていただき、意見交換を得る機会をもてました。 現時点では指定及び補助金の増額の0回答もあり、10月頃の決定までは今のままの600万円での事業を実施致しますし、0回答なら事業費の変更は生じません。新年度の数字は同じですが、基本的な考え方は若者2人+もう1人の後継者の育成を会のメインの事業として継続可能な体制作りと竹筬の全国の染織家の方たちへの頒布と普及を目指す事業計画で、具体的には今まで会計及び庶務の関さんが無償のボランティア部門を若手の小倉さん担当で、文化財保存技術保存事業費国庫補助要項の非常勤事務員賃金5000x10日x12ヶ月=60万を計上、研修会場の剥ぎや組み加工の使用賃借料10000x36回=36万、研修会の使用賃借料5000x24回=12万、研修会場の資材や道具、機械の保管施設費68000円x12ヶ月=81.6万、竹材の割りと剥ぎ加工費64x15000本=96万、これだけをボランティアの持ち出し分として計算しても285万、その他のもろもろのボランティア持ち出し分を加えますと500〜600万プラスの総事業費1100〜1200万ぐらいの現在の研究会の事業活動と考えました。もちろん0回答や減額での回答の場合はその持ち出し分をどのように対処し、運営して活動していくか、今後の会の課題ですが、どのような回答が来ても今年度がそのターニングポイントだと思います。 限りある予算会計の中で予算案の見直しや組替も必要になります。予算オーバーの不足分や万一の赤字の場合を補うために賛助金の増加努力や補助金使用の節減努力も必要になります。将来的には普及部の営業活動で利益を得る努力も必要になると思います。技術の習得と継承はもちろんのこと、会計上の運営も考えないといけない時になったと思います。 (2017.04.25 下村 輝) |
「絹通信#53」より |
1月、ザ・クリエーション・オブ・ジャパン(COJ)の絶滅危惧の素材と道具アンケートでのイエローリストが集計され、東京会場と京都会場とのテレビ会議に参加いたしました。素材は動物原料、自然素材、竹、鍛冶、道具加工をタテ軸に、A対処するために情報が必要なもの、B採ってくれる・作ってくれる人がいないなどやってくれる機関や人を探すべきもの、C需要が「品質にこだわる人」に限られている危機、D美術と伝統産業基盤を支える点で明確な危機、E文化財保存の観点で明確な危機(代替品なし)、F絶滅した、提供者が不在、「復刻」が必要なものをヨコ軸にしたリストを基に、3時間、対話と意見交換をいたしました。 染織関連では蚕種、国産絹糸、真綿、国産手紬糸、つむ、糸綜絖、金糸の色物、草木染(能装束)、染め型紙と切り抜き小刀、日本刺繍手打ち針、小型揚返機、糸巻き用回転芯、竹筬。その他は鯨のひげ、象牙、馬毛、鹿の角、猫革、フナネズミ(蒔絵筆)、羽根(能の道具)、胡粉、螺鈿用具、玳瑁(べっこう)、銘木(特に桑)、竹材(真竹)、研磨墨、研炭、駿河炭、桐炭、国産楮、生漆、木灰、トロロアオイ、ノリウツギ、天草陶石、砥の粉、緑青、本朱、弁柄、美栖紙、刻苧綿、漆刷毛、和銑(わづく)、鋸の目立、漆掻き道具(鉋、箆、鎌)、刷毛用金櫛、空木の釘、和紙政策用具(桁、簀、糸)、歌舞伎用和傘製作技術の他に、まだ未提出のものが多々あると思いますので分野を越えた横の繋がりの大切さを実感いたします。 私の仕事の染織では糸や道具、用具類、そして参加している竹筬や竹でも、協力できる分野が多くあり、紙漉き用の木灰や用具用の絹糸、竹では和傘の職人さんと連絡を取りました。また竹筬や竹材で連絡が入るかも知れません。平成27年度は京都、28年度は東京、29年度は金沢です。可能な限り参加し、情報交換と交流を持ち、次に繋げたいと思います。 (2017.02.23 下村 輝) |