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「絹通信#50」より |
試験用に依頼していた別府の竹が二店より入荷、A店には青竹で16mm幅割りで、2.5?3mm厚のヘギ竹ベラです。加工結果はだめでした。ヘギ加工は機械で、入り部分は安定、しかし出は不安定、一番だめなのは竹ベラに縦割れが入っているのが半分あり、竹材として安心して使用できません。縦割れの原因は鉄製ローラーそのものか圧力の掛け過ぎかでしょうが、竹カゴ製作の方が竹筬の原料16mm幅の竹材を竹製ローラーのヘギ機に通したことが結果的に無理だったこと。加えて、青竹ではカビの問題があり、以前のように網代に組み長良川の堤防に1ヶ月間、自然乾燥することは実質的に無理と言えます。価格も以前に比べ6.5倍、これほど支払っても良質な竹材が入らない現実があります。 B店には白竹(ソーダ類で湯炊き後、天日乾燥)と炭化竹(人工的に竹を固定し安定した状態に)、どちらも半割りの8mm幅でほぼ荒引きの厚さ1.5mm弱までに加工依頼、幅取りの精度は良。しかし厚みの精度は白竹では1.5mmの半分のものもあり、炭化竹も25%薄いものがあり、期待以下の精度でした。原料とはいえ、竹筬の筬羽の精度2/100と竹カゴの竹ひご作りの職人さんとの精度の違いを感じております。結果的には、青竹、白竹、炭化竹では白竹が現実的、ヘギ加工やさらなる加工を竹カゴ職人さんに依頼した結果は不満足で、研究会の購入し調整した割りとヘギ機械による加工が最良です。 その後、出会えた宮崎の竹材から竹製品までの竹工芸店より、白竹のヘギなしの16mm割りの竹材3000本試験送付してもらいました。最初のサンプルは手割りでしたが、今回は菊割り器を使用、16mm幅は多少不安定ですが、研修場のゴムローラー式のヘギ機でヘギ加工し、割れにくさを含めた竹材試験をし、より良い竹材に出会いたいと思います。価格は白竹ではありますが、割りのみでヘギ加工なしで約1.7倍。以前、福岡の竹材店から来ていた竹材1本10円という価格は、その前の竹切りし加工していた職人さんの収入では若い人の仕事としては成立せず、後継者が0というのも理解できます。別府の竹も加工は不満足でしたが、竹材試験はしたいと思いますので宮崎同様16mm幅の割竹のみで送付してもらいヘギ加工しようと思います。 (2016.8.22 下村 輝) 第13回「試作竹筬と織布展」は11月8日(火)?12日(土)まで9:30?17:00で横浜のシルク博物館で実施します。 翌日の13日(日)は下村ねん糸のレクチャー、午前と午後の部を実施いたします。 |
「絹通信#49」より |
6月号でも述べました補助金の資金は借入金、有志出資金など、いろいろと考えられ、理事、会員の意見を聞いておりますが、今の補助金600万円、その保証や担保と具体的なことで責任をどう取るのかというと結論がでません。 銀行の資金借入にも相談し検討していただきましたが、以前は補助金の内定書を担保に借入可能だったようですが、現在は諸事情で廃止、府県レベルで利息の補助制度があり、利払いの心配は少ないのですが、問題は毎月の均等払い、600万円なら毎月50万円+利息分を1年間で返済するのが原則、補助金の入金が年度終りの最終決算報告後、証認された4月に入金、毎月の支払いは売り上げや自己資金がないと無理、今の研究会では資金運営上利用できない制度です。 交渉して入金後の一括返済が可能としても、次年度の資金もずぐ借り入れての事業になり、現状である限り、ずっと借りっぱなしで利払いを続けることになります。これを事業として独立し成立させるためには自己資金を蓄積し会の体力をつけるか、資本金、出資金を募り、事業で利益が出れば配当や利払いし、さらに残れば受けた補助金で支払われた対価から少しずつ貯め、自己資金として自由に使えるお金を補助金が入るまでの支払金としていけるよう事業の中で努力していかないと会としても事業者としても自立することは大変だと思います。 では今まではどのように資金問題を処理してきたかといいますと、大量である会長及び会計が保証を含めて最終の責任をとる、したがって今までの運営上、一番重要で大切なことは、当たり前のことなのですが国の監査時に否認されない事業内容と支払いや収入を説明し納得してもらえる内容であることです。 選定保存技術の保持団体の認定が受けられますと、今までの補助金+会費の事業で利益や自己資金を考えなくても良い研究会から販売益や自己資本の持てる団体として営業活動を含め、すくなくとも赤字にならない事業として補助金も含めた事業活動でないと会そのものが維持できなくなります。赤字が出ればだれが補填するの自己資本や自己資金を持たない会が自立するためには会員の善意やボランティアや持ち出しだけでは成立しなくなると思います。会として事業として努力は必要おですし、その分を含めて新しい補助金のあり方を交渉し、後継者が育ち、竹筬の復活を目指したいと思います。 (2016.6.15 下村 輝) |