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「絹通信#48」より |
竹筬研究会も13年目を迎えます。現状の課題は資金、 2003年〜2011年9月までは芸術文化振興基金助成事業の助成金+会員の会費、その後は国の国宝重要文化財等保存整備助成金600万円+会費で研修事業を実施して来ました。しかし、補助金を受ける限り、次年度の資金もまた必要で借入金なら保証人と担保、利息や年14%の滞納利子のリスクがあり、ずっと借りっぱ
なしで利息支払いが続きます。有志出資金の場合も監査時、会の事業内容を会計的に否認された時、支払い済の資金は誰の保証で担保するのか、出資金も借入金同様、有利子、無利子は別にしても、
ずっと借りっぱなし状況が続きます。補助金があるから竹筬研究会の事業が成立していますが、資金0の会が始めるには解決すべき問題が多い制度でもあります。補助金は年度内に使い切り余剰金を出すことは出来ません。会員の得た研修費をボランティア精神で賛助をえて会費処理することは可能かもしれませんが本質ではなく、他のプロ職人団体と同様の補助金および竹筬販売
と修理で営業を続け、資金蓄積を考えていくことが今後の課題です。 竹筬製作販売の日本竹筬工業が14年前に解散せざるを得なかった状況はたとえ補助金ありでも、若者を育て竹筬製作販売し仕事 として続けていくことは容易でなく、資金、場所、会計や事務、竹材仕入や竹筬販売の流通など、問題は多々ですが、知恵を出し合い一つ一つ解決し、竹筬復活を実現したいと思います。皆様のご意 見、ご助言、賛助、情報をよろしくお願い致します。 2017.4.15 下村 輝 |
「絹通信#47」より |
2003年に結成した竹筬研究会は13年目、2008年には第一回の「試作竹筬と織布展」、今年1月の沖縄での竹筬展で13回目、第14回は今年11月に横浜シルク博物館で計画しています。その間、久米島紬、宮古上布、小千谷縮、芭蕉布、個人では志村ふくみ氏と国が重要無形文化財に指定されている団体と保持者、日本工芸会の染織作家、一般の染織家の試作竹筬を50人以上製作し、試織していただき、竹筬展で竹筬と研究会の現況を織布を通して報告、沖縄展では会員が新しい試みで製作した「波筬」「よろけ筬」を出展、試織要望があり試作に入りました。会員の技術的な面は研修でほぼクリアできつつあります。旧日本竹筬工業の代表で研究会の名誉会長で良き助言者・豊田亨さんが1月亡くなられました。唯一ご存命の豊田義雄さんも2年前より老人ホームでの生活、旧日本竹筬工業の職人さんにご助言いただく機会は0になりました。幸いにも研修いただいた技術は材料の竹材の部門以外はほぼ継承できていると思います。いよいよ竹筬復興に向けて心を新たにして、次なる一歩を踏み出そうと思います。皆様のご助言と賛助を、特に竹材に関する情報をよろしくお願いたします。 *筬波織りとは 製織の際、波状の動きを出すために「筬」を操作します。 波筬(なみおさ)と呼ばれる綜絖(そうこう)により、織り出される夏物の生地を波筬と呼んでいます。薄羽のような透ける紗です。帯地では、盛夏向き絽織りに多いです。 *よろけの筬とは 正式名称は八割筬(はちわりおさ)。経糸を左右に動かす特殊な筬 着尺一列機を使って、もじり織りという。たて糸とよこ糸を縛った格好に織り上げていく手法と、たて糸とよこ糸の両方に波状のよろけ(ウェーブ)を形成させる手法を組み合わせた特殊織物です。 |