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「絹通信#42」より |
昨年、切り出し節落しした丸青竹を約3000本、乾燥と保存で研修所の2階に。次の16mm割りと3mm厚の剥ぎのために保管しています。節落し、竹割り、竹剥ぎを自分達でするようになり、筬羽作りの技術とは別に、竹素材と竹加工の現状調査の必要性を感じ、最後にクリアすべきは竹の諸問題ということになります。 2月、10年前に訪れた別府へ、再度会員10名が大分県竹工芸訓練支援センターの小谷公人さんのご案内で、竹林、竹材加工所を訪問。最初は国東半島、みかん畑の山が放置され、育った竹林を目的にあった竹林に土壌改良も含めて整備され育て出荷されている大きな規模の竹材店としては日本で唯一といえる上野山貞男さんの竹林、筬羽で必要としている竹、4年前後の竹が一番需要の多い竹、それは4年間続けて整備し、初めて切り出荷でき、5年目にお金が入手、その状況を辛抱できてこそ、その後は竹林がお金を産む竹林になること、体験されている貴重な上野山さんのお話でした。人の管理していない荒れた竹林より良い竹材のみ必要量を確保して切り出すことなど、考えれば無理な話しだと思いました。個人レベルでの竹林整備から加工、作品制作のお話は佐藤尚康さんにお聞きできました。小谷さん、佐藤さんには、4月11日、12日の2日間、岐阜の研修場に来ていただき、竹材、竹材加工、筬羽引き、筬組みなどの研修内容をご覧いただき、原料面と加工面から意見交流し、ご助言いただき、次に繋がるお話ができました。 次の訪問先、日出町の岩波竹材店では竹材乾燥のための苛性ソーダ液による表皮の油抜き作業と竹材加工そしていろいろな加工機械を拝見し、幸運にも廃業されたところの薄く削れる機械とお手持ちの幅取り機械を譲るというお話をいただき、後日その2台を車で引き取りに行くお約束ができ大分を後にいたしました。 会員の内5名はさらに扇用の扇骨竹材店、島根県益田市の須藤竹材店を訪問、持参した岐阜の真竹を見ていただき意見交流、孟宗に近いとご意見いただき、反省も含めまた一歩前進と思います。扇骨は今はほとんど孟宗竹ですが真竹の需要も少しはあり、益田は雪があり寒く、竹は曲りがあるものの緻密度の高い竹は筬羽には適していると思いました。益田の竹林も整備はされていませんが、まだ伐り子はおられ、加工技術のすばらしさも含めて一度は竹材をお願いしたいと思います。 今回のことは竹文化振興協会「竹の情報発表会」6月12日(金)午後2時〜4時15分リーガロイヤルホテル京都で「竹筬と竹材確保問題」というテーマで約30分程度お話しさせていただくことになりました。 2015.04.22 下村 輝 |
「絹通信#41」より |
岐阜の竹切り職人・岡さんの節付きの長尺の丸青竹200本の節を落とし、38cmと43cmに定尺切りした昨年の丸竹は1ヶ所割りを入れて約3000本を研修所の2階に乾燥のことも考え、積み重ねて置いています。これを16mm幅に割り、約3mm厚に剥ぐ作業が次の仕事。丸竹の直径が平均9cmとして約17本の竹ベラ、3000x17=51000本。約5万本の竹ベラ作りが、まず会員の一番目の仕事になります。昨年までは約10名の会員が手作業で16mm幅に割り、3mm厚の剥ぎは山口県より導入した機械で対応。今年に入り16mm割りの機械の調整もほぼ終わり、原料段階の機械化はほぼ完了しました。丸竹にナタで一カ所割りを入れる作業も手作業だと大変です。16mm幅に印を付け、正確に割っていく作業も本当に大変です。今まではそれが電話1本で入手できていましたが、いざ自分たちで加工すると、割り、剥ぎと単純なのですが、自然素材を正確に処理する難しさを改めて実感、そこに今までの職人さんの技と忍耐力を感じます。荒れた竹林や放置林から良質の竹材だけを選び切り出す作業の大変さ、困難さを実感し加工作業をしています。 良質で適切な竹材探しが研究会の今一番の課題で、今は昔に戻り、竹林整備から始めないと用途に合った適切な竹材入手は益々困難になりそうです。再度一から竹の勉強の必要性から、2月26日から別府へ会員10名と岡さんにも同行していただだき研修を実施いたします。2月の研修日より丸青竹の16mm幅での手割りが機械割りに、その割り竹を次の剥ぎ機で3mm厚に剥ぐことが可能になり、力も要りません。16mm幅に割る機械は丸竹をセットするのに少しコツが必要で、今一つの改良と調整が必要ですが、2種の機械で加工した竹ベラ原料は以前の九州の職人さんの加工が2/100だとすれば、今の機械は1/100の精度です。以前、日本竹筬工業で竹筬羽製造を唯一機械化されていた豊田義雄さんのお話と結果が一致いたします。 竹林を育て、管理し、切り出し、機械加工し、最終チェックは職人技による人の判断、そのための技と目を持つための月2回の研修であり、自宅研修、技の習得だと思います。会員の誰もが加工できる機械化が研究会における私の今の仕事で、材料加工では何とかクリアできました。次の竹筬羽加工で義雄さんの機械化を目指し、扇骨加工の機械の調査と勉強を始めようと思います。別府の帰りに島根県の扇骨材料加工店へ寄ることになりました。 (2015.02.22 下村 輝) |