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注文すれば中国産が10s単位で入荷します。価格は一応、国産の七割か八割が一つの目安です。需給関係によって、価格はあってないようなものです。 なぜならば中国にとって何十万円の糸というのは、驚異のはずです。品質はピンからキリまで、その見きわめが必要ですが、最高品質のものは三五デニールのす ばらしい糸質です。精錬し、さらに製織されたものは、国内産か中国産か全く見当がつきません。国でもこの輸入量のデータは、ほとんどつかめていないと思います。
 家蚕糸の場合は一元輸入の取り決めにより、データはつかめますが、天蚕は野蚕糸ですから、一元輸入の制度には引っかからない輸入自由な糸なのです。また、 輸入量から考えても、家蚕の糸や、同じ野蚕の糸である柞蚕糸の輸入数量に比べれば、ゼロに近く、データとして残る数字ではないのです。
 この中国産天蚕糸の事を全く無視して進んでいるのが、国内の天蚕産地です。中国と取引をしている商社の話ですと、中国現地で刺しゅうに使う天蚕糸が年間 約五〇sとの事でした。この意味を生産者の方は、是非考えていただきたいと思います。
 数量、価格、流通、製品開発、中国糸、いろいろな問題を未解決のまま、各地の天蚕事業は進んでいます。最初、交流を始めたと鳥取とは、目ざす目標と価格 調整がつかず、別の道を歩む事になりました。今は神奈川の蚕業センターの方達、農協の方達と、天蚕が事業になる事を願って進んでいます、
 そして、天蚕を通じて交流の始まった千葉県蚕業センターとは、家蚕生糸の事で、おたがいに協力して、国産生糸の可能性を模索しています。
 具体的にはいま同センターが試験飼育されている蚕「あさぎり」での生繭繰糸生糸での製織試験や、我々が試験している生地「練貫(ねりぬき)」用の特区別 な糸「小石丸」での糸と、良い糸とは何かを求めて交流を進めております。

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下村  輝 (絹のより 下村ねん糸)
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