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仕上げ

生絹織物(未精錬のままで織り上げた織物)は、生地精錬し、時には漂白し、幅だし加工をします。そして、練絹織物(糸染めして染織した織物)は、基本的には水洗いし、幅を整えるくらいです。ただ着尺の様に製織時に、糸の毛羽を抑え、強度の補強、風合いの調整などの意味で糊付けし織り上げた場合には、糊抜きを兼ねた水洗いと幅出しの整理加工がなされます。

21世紀の絹とは

養蚕・養蚕農家・繭は、お米と同様に日本の農政の保護政策の規制の枠の中にあり、生糸はお米同様自由に輸入する事は出来ず、国が管理する一元輸入という政策になっています。生糸の国際相場と国内生産の生産コストには相当の開きがあり、国の補助金で補い維持しているのが現在の国内生糸相場です。しかし農業として成立せず、養蚕も生糸も風前の灯で、産業としてではなく「おかいこ様」という心で僅かに養蚕が継続していると言えます。日本農業の厳しさに加え、自由化の波は厳しくなるばかりです。お米は食糧問題とい防波堤が有りますが、そこまで行かない生糸は自然消滅を待っている様で養蚕農家や製糸にとって厳しい現状となっています。機業家は安い生糸の自由化を望んでいる為、両者の開きは大きく、養蚕農家は個性的で特徴があり海外で出来ない繭で生糸を生産する事が不可欠となります。日本では、同一性よりも個性のある物が求められ、価値のある物に対しては高価であっても需要が有ります。この需要に対して、個性を生かした特徴のある物作り、手織りの世界が適しており、機業家も気づき出しています。(均一性を求める規格生糸は、中国やブラジルの輸入生糸を使用する)
この現状でも、個性を求めた国産繭を生産している農家が群馬県を中心に、生繭座繰生糸や横挽きの座繰玉糸を行う製糸会社(長野県 宮坂製糸)が活躍しています。
人の手間と時間がかかる座繰糸は、高価な生糸や玉糸を生み出します。この特徴のある手織りの方が好まれる糸、他ではまねのできない糸挽きの個性ある糸、この様な糸を残して行かなければなりません。繭作りの人、糸を作る人、織布する人、使う人の顔がすべて見える 人の繋がりがある生糸が今後21世紀に必要となる考え方でしょう。


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下村  輝 (絹のより 下村ねん糸)
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