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価格に見合う質の高さや個性・特性があれば輸入糸 と競争もできますが、その糸の使用は現状の絹業界では厳しく、さらに繭を生糸にする製糸工場も群馬県の碓氷製糸株式会社・山形県の松岡製糸株式会社、そして小規模ですが長野県の㈱宮坂製糸所と松沢製糸所のほ ぼ4社のみで、製糸も厳しい状況が続いています。養蚕までの繭作りは日本の農業問題が、製糸・撚糸・製織は繊維産業という工業の問題がありますが、日本の蚕糸は限りなくゼロに近づいていると思います。それに対 し、絹業界・染織産地・個人の方の染織の世界においては、世の中の個性化・多様化・環境や人に対してやさしく、人が人らしくあるための手織りや草木染めといったものづくりを選ばれる人たちがいます。このよう な人たちのために絹糸を作る蚕糸・製糸・撚糸が連携して染織に繋げるのも1つの方向であり、次の世代に染織の伝統を引き継いでいかれるのだと思います。これからは、業界はもちろんのこと、個人の方も人と人との つながりを大切にした、生産者から消費者までの「顔が見えるものづくり」をする、そんな時代に入ったのだと思います。