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家蚕規格糸は、27Dを中心に、21Dと31D・玉糸では、110Dと60Dが製糸されています。ちなみに絹糸の太さ表示は、 Dではなく27Dを中心に製糸したという意味で取引習慣上「中(なか)」を使い、27中と表示することが一般的です。短繊維 である綿糸や毛糸は、恒重式の綿番手やウール番手で太さを表示し、絹紡糸の場合は絹でも番手表示されます。恒長式の場合は数 値が増えれば太くなり、恒重式の場合は逆に数値が増えれば細くなります。

日本の蚕糸
「日本の絹」と「純国産絹」という類似の絹マークがあります。今、日本で使用されている絹糸の約99%は中国産・ブラジル産 ・ベトナム産など外国から輸入されたものです。この輸入された糸あるいは繭から製糸された糸で織られた織物には前者の「日本 の絹」マーク、日本産繭での絹糸は約1%で、その織物には後者の「純国産絹」マークが付きます。生繭の1Kgの農家保証価格が 約2000円、そのうち3年間限定の補償金が0で繭代金が4分の3の約1500円、保証金が0で繭代金2000円として生糸 1Kgを計算すると繭だけで約11000円プラス製糸代金となります。中国糸の国際相場が1Kg7000円前後、国産ブランド 生糸や手作業の諏訪式や上州式での座繰り生糸や玉糸は2〜3倍の価格になり、価格に見合う質の違いや個性・良さがあれば輸入 糸と競争も出来ますが、この価格差を原種製造・養蚕・製糸・生糸商生糸商の原価に近い部門が負担する事は困難な事で、織物業 ・卸売・小売商の製造・流通段階で負担し、使用者の理解を得られる努力をして、全体が廻って行く利益の分配と流通を考えて行 かないと「純国産絹」マークの糸は限りなく0に近づきます。輸入糸に負けない、高価格に見合った良質で個性ある糸を作るか、 同質ならば価格帯で負けない安価な糸を作るかなのですが、人工飼料の原点は後者だったはずなのに、今ではその方向性は0とい え、前者しか1%の絹糸が残れる可能性はありません。各部門の連携と技術革新・流通改革・意識改革を補助金がある間に現実的 に構築しておかないと、国産繭での蚕糸は近い将来0になります。養蚕までの繭は、日本の農業問題、製糸以後の繊維産業という 工業の問題、日本の蚕糸は、今、ぎりぎりの所にあります。



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下村  輝 (絹のより 下村ねん糸)
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